アメリカの意を受けて中・朝と和解したこと

 今回の和解、菅井はただ一点を除いては大いに歓迎している。中国が「友好」といってるのに、日本外相は、友好が第一目的ではない、「戦略的」交流だ、双方に利益がなければ、と主張したが、そのことを国会でも誇っているらしいが、戦争放棄を宣言した憲法はいったいどちらの国のものだったんでしょうか、というチャリを入れる気もありません。平壌宣言の二の舞ではないかとも言う気もありません。安倍首相は、村山談話も認める、平壌宣言も有効だ、非核三原則は堅持する、国会でも、過去の侵略を反省していると言っているし、もっと早く言っていればよかったのにとは思うものの、これだけ公的に発言をしていただければ、言う事はありません。
 これらの言葉を、日和ったり、豹変したり、暗殺されたりしないで、これからちゃんと実行していただきたい。
 本音がどこにあろうと、中国や韓国としっかりつきあい、アジアに共同利害を堅くつくりだしていくことは、よいことである。明治維新政府にたぶらかされ。無念の血涙を流した一進会の方々も、こうした方向なら、許していただけるのではないかと思う。

 しかし、この和解が、同時に朝鮮侵略の包囲網に中国、韓国をひきこもうとしている、そのための「戦略的」和解であることは、見過ごすことはできない。国会でも、中韓との和解の報告の際は、めずらしく国会内に清浄な空気がただよい、敬虔かつ厳粛な雰囲気に包まれたのであるが、こと、朝鮮核実験(ミサイルにひきつづき、うまくいかなかったとの報道がある)に触れた時は、空気が変わり、韓国にも対朝鮮制裁の必要を認めさせたと安倍が言うときは、いさましそうであった。だが、国連決議をおすみつきにして、朝鮮を侵略しようということはイラク侵略同様、やってはならない。

 ブッシュ政権がやったことは、朝鮮を核武装に追い込むことだったというのがまぎれもない事実である。もちろん、イラクに対して行ったブッシュの不正義の戦争も彼らの核武装を後押ししたものだ。客観的に見るならば、前政権時代には、朝鮮の核武装はおさえられていたのであり、ブッシュ時代の諸措置がそれをエスカレートさせたのだ、アメリカの侵略をこそ恐れていた朝鮮とどうしてアメリカは一対一で話しあおうとしなかったのか。
 今の時点で、アメリカは朝鮮の核武装は阻止できず、外国への核輸出は許さないという状況と言われる。いったんは日本に対して核の傘をやめることをほのめかしていたアメリカは、再び核の傘を供与すると言明した。つまり、日本が核攻撃されたらまちがいなく、アメリカはその国に核攻撃をする! という保障をするから、日本は核武装しようなんて思うなよということである。
 だが。日本の安倍政権の制裁突出は、この制裁で何が何でも朝鮮政権を転覆してみせなければならない、ということになる。だから、しゃかりきに、国連のおすみつきで北朝鮮包囲網をつくろうとする。ネット右翼たちの考えと方向は同じである。戦争路線ないしは侵略路線である。アメリカではなく、日本の一部と安倍がそうしようとしている。朝鮮との貿易で生きている人々の利益ではなく、あてにできるかどうか実はわからない朝鮮の資源や市場をねらっている一部利権が後押しする。アジアの平和と友好が日本資本主義の安定のもとだと考えているのが日本の資本家の多数なのだとはいえるが、それだけではない。これから東アジアで戦争を起こそうとするのは、日本国家と、井の中の蛙の右翼たちである。
 現局面で大事なことは中露が反対し、すっかりおかしくなっているアメリカが口にしている国連の軍事行動も含む制裁決議は通さないことである。日本の安倍はアメリカ案を強硬に支持している。

 今度の大阪での選挙で勝つためにとった創価学会もかんだというこのたびの外交措置にだまくらかされたのではたまらない。