12月8日

 12月8日は、日本がアメリカに対して戦争をはじめた日である。日本の戦争は、それ以前に中国ではじまっていたから、日本人にとっては、12月8日は特別な日とはいえない。
 だが、この日はアメリカにとっては大した日だった。真珠湾に復讐せんと、日本への爆撃を敢行した米兵たちは、一人も無事帰還することはなく、墜死、処刑、収容所暮らしとなったが、そのおそれもいとわず、彼らは復讐に命をかけた。国をあげて日本との戦争にアメリカはすすむ。アメリカがイラク戦争においてもちいたショックと畏怖作戦と同じ理屈で、真珠湾攻撃をした山本五十六は、やはり同様にあてがはずれることとなる。 
 日本が平和主義を国是とするのなら、第二次世界大戦のことはよくよく学んでおくことが必要だ。真珠湾攻撃の英雄にして、日本海軍の司令官の一人、渕田美津雄は、戦後、キリスト教に回心するが、それは、復讐心を克服して、平和を望むこととむすびついていた。
 日米開戦に反対した山本五十六は、あくまで開戦反対に命をかけることをせず、真珠湾攻撃を山本流、航空機中心での攻撃にすることに命をかけてしまう。彼のいいかげんさは、彼が、長岡藩という、幕府方について、玉砕し、長らく、薩長政府のもとで冷や飯を食ってきた、郷土の、期待の星であったことに原因があるようだ。だが、いずれにしても、山本のような行動が日本を悪くしたということはいえる。
 日米の国力差から、戦争をすれば負けることがはっきりしていたのなら、あくまでも反対しなければならないのに、そのサインを出し続けることができなかったのだ。
 日本はアメリカにはめられて開戦してしまったという主張がある。それは、大東亜共栄圏をめざすというかっこいい主張とは正反対の見方だ。もし、本当にそうならば、あの戦争を美化することなどできはしない。せいぜい、追いつめられて窮鼠猫を噛むの精神でがんばったので、よくあそこまでやったとなぐさめる以外ではあるまい。いずれにしても、自虐史観からぬけることなどできはしない。
 つくる会らの世界観は、社会主義建設に失敗をかさね、なお、自分たちは自力で立ち行くことができるのだと信じたいがために、朝鮮がはまっていった「主体思想(チェチェ思想)」という主観主義、独善の思想(正真正銘の観念論)、自己肯定の思想と同一のものである。
 奴隷であったものが自身、奴隷の思想をもつのはあたりまえであり、一貫して西洋列強の属国であった日本だから自虐史観をもつのである。明治以降の日本史を近代化として美化したい気持ちはわからないではないが、そんなものではない。