北朝鮮からの6人の入国拒否を決定、制裁措置で2例目

 日本政府は、北朝鮮のミサイル発射に対する制裁措置の一環として、26日から京都で開かれる「世界宗教者平和会議」に出席したいとしていた北朝鮮在住者6人の入国拒否を決めたそうだ。
 《(日本)政府は、北朝鮮のミサイル発射への制裁措置として、北朝鮮政府職員らの入国を原則認めず、政府職員以外の入国審査も厳格化する方針を決めている。》(読売新聞による)


 制裁とは、相手がこれこれをやめるなら(あるいは、するなら)、解除するというものでなければならない。制裁が解除される条件が相手国に正確に伝わっていなければ、相手国はどうせよと言われているのか、さっぱりわからず、単なる懲罰、いじめとしか受け取らず、敵意の表明としか受け取れないからである。


 たとえば、平壌宣言の精神に両国がもどり、そこでのミサイル発射の凍結ということを朝鮮が再び確認するなら、この制裁措置はとりやめる、と日本政府がどうどうと発表するというのなら筋はとおる。彼らは何を要求されてるかわかるからである。だが、そういう表明はない。


 菅井は、今回の措置は、実際には、「制裁」でもなければ、朝鮮のミサイル発射にかかわるものでもないと考える。


 制裁でないのは、制裁解除の条件がはっきりしないからである。これでは、いつまでもやめることにならず、国際紛争から戦争につながりかねない。こういうものは、単なる懲罰であり、いじわるでしかない。けんかを売っているようなものである。

 しかも、報道によれば、朝鮮国家の公務員は入国を認めず、諸民については審査を厳格にするとあるが、この「審査の厳格化」とはなんのことか? 公務員かどうかは厳格にもちろんわかる。密輸入のポルノ雑誌をもっているものは、入国させないとかいうことなら、わかる。犯罪履歴のあるものは不許可というのも、人権の観点からどうかよくわからないが、はっきりした基準だろう。実はスパイであるから、断るもあり得るだろう。そういうことでもなけけば、朝鮮の一諸民が入国するのに、どのように「厳格」な審査をしたとしても、なぜ拒否することになるのか、菅井にはさっぱりわからない。きくところによれば、世界から人の集まる「世界宗教者平和会議」に参加する人だというではないか。この会議に自分も出席する小泉首相が、戦没者追悼集会や、広島長崎でと同様、いくら「平和を守る決意」などといったところで、日本国はやっぱり平和主義を捨てるのだと、世界から見られるだけである。バカな話だ。


 また、ミサイル発射がきっかけになっていることは事実だが、過去にも行われており、ミサイルを含む軍隊をもつ以上は、朝鮮の発射実験自身、なんら問題になるものではないことであり、本当には、それが理由などではないのではないか。現に、日本はアメリカがミサイル実験しているにもかかわらず、「制裁」などしていない。
 安倍は、制裁開始の直前に、拉致家族にようやく制裁できることになったと連絡したと報道されている。
 拉致被害者家族会からは、他の拉致被害者と思われる人についても、返すまでは制裁せよ、との強い圧力があることはよく知られている。その意を受けた制裁だとのニュアンスである。もちろん、拉致に対する制裁と朝鮮に伝えてはいないのだから、朝鮮はそれを解除の条件と認識するはずもない。ただ、怒りにもえる拉致被害者家族の復讐心を満たすことになるばかりである。それは、制裁ではなく、懲罰である。

 
 今回の「制裁」は、もちろん、国連の権威によって行われているものではなく、日本が独自にやりはじめたものである。その点では、アメリカが偽札事件を理由にしてやっている金融制裁と同じく、一国が自分の判断でやりはじめたことであり、やめるのも自分でできるものである。


 このような非合理かつ、戦争への道を切り開きかねない、「制裁」と言う名にも値しない外交はすみやかにとりやめるべきである。そして、六カ国協議の枠にもどり、話し合いができるようなあらゆる手だてを追求し、平和主義を国是と宣言する最高法規をもつ国家の公務員の義務にのっとって行動することを、日本政府に要求する。