村上春樹氏の「小確行」/ブッシュ、中間選挙に敗北

村上春樹氏の「小確行」

 村上春樹氏が万を持して、政治発言を載せたムックを出版した。その内容は、村上春樹の熱心な読者なら小説を通じてもちろんわかっていたので、その点ではオドロクには値しない。だが、小説とかではなく、今このときに、読者からの質問に応えるという形で、はっきり載せた出版物を出したことに注目したい。彼が、日本に現存する数少ない知識人の一人として、自分の責任を理解している証拠だと思うからである。

 今この時とは、教育基本法がまさに改悪されようとし、平和憲法を変えることが自らの内閣の課題であると宣言する安倍内閣が動き始めているこの時に、ということである。東アジア地域の非核化が問題となっている今この時にということである。ノーベル賞候補に挙げられながら、そうならなかったわけだが、その時に、ということではない。
 村上春樹氏はノーベル賞を取らなかったことによって、大江健三郎にはならないだろう。
 菅井は彼の短編集「中国行きのスローボート」に出会わなければ、今の菅井は存在しないほどに影響を受けてきた。今生きているのはまったくこの小説家のおかげである。
 村上春樹氏の、ささやかな一歩であるかもしれないが、確かな変化であるこの行為にエールを送る。


ブッシュ、中間選挙に敗北

 アメリカの中間選挙は、下院では民主党が圧勝、上院ではほぼ同数となっていて、残る州で、再集計ということになるようである。我々に直接つながっていないので、イラク戦争に批判的な民主を平和勢力、共和を日本の改憲勢力につながるものとみなして、番外編1.5ラウンドとして見るという適当なことをやると、平和勢力が盛り返したということになる。
 再集計をすると、いつも共和党が逆転している(からくりがあるとの説もあり)ので、今回もそうなってしまうのではないかという予想があるが、それにしても、上院でもほぼ互角という勢力にはなる。
 イラクフセイン大統領が、人道に対する罪により死刑判決ということらしいが、平和に対する罪や人道に対する罪で今さばかれねばならないのは、ブッシュやラムズフェルドの方である。それには道はまだ遠いけれど、そして、他国のことてあるが、平和主義勢力にとっては良い流れである。