いじめ助長を糾弾する

 いじめ助長のCMに対する糾弾が自然発生的に生じている。
 糾弾というものは公的にきちんとやられなければ、効果もないし、本来の姿をはずれるものである。ソフトバンクの対応を見ても明らかなように、今の形では、いいのがれられるのである。「いじめを意識してつくったものではないが誤解を招いた」ではなく、「いじめを意識してつくったものではないができたものはいじめ助長の作品になっていた」と言わなければならないのだ。誤解などではないのだから。今のままでは、いじめ助長の構造を変えることまでにはとどかない。過去に行われた糾弾の成果と問題点を深めて、先へ進む必要がある。

 これは、現在の支配階級が進めている、いじめ、談合問題、学校での履修科目省略問題などを口実にして行われているしめつけ強化、厳罰主義、中央集権化、犯罪摘発、法改正による規制等々と混同されてはならない。それらは、現政府が、強行突破した教育基本法廃止の延長で憲法を改正、平和主義をやめ、防衛庁から軍事省にしようという流れが、日本の防衛という口実で行われていながら、その実質、アジア地域をますます危険な対立と戦争へ押し進めてしまっていることと同じである。実質は支配のための管理国家づくりであり、民主主義を破壊する施策の一環である。
 平和も繁栄も生き甲斐のある社会も、某漫才タレント氏がアインシュタインの書簡を引いて言ったように、「文明を進歩させる以外には実現の方法がない」のであり、現政府がやっていることはそれに対するニヒルな断念にすぎない。


引用
ソフトバンク>携帯電話CMに「いじめ助長」の抗議相次ぐ

12月24日3時3分配信 毎日新聞

 ソフトバンクモバイル(本社・東京都港区)の携帯電話料金のCMに、「いじめを助長する」との抗議が相次いでいる。特定の時間帯なら同社の携帯電話同士の通話が無料となることをPRする中で、同社以外の携帯電話を使う人は仲間外れにされるともとれる部分があるため。同社は「CMは当初の予定通りに24日で終了する。ご意見は今後に生かしたい」と説明するが、いじめが社会問題化する中、不快に感じる視聴者が多かったようだ。
 11日から全国のテレビ局で放送されている同社の「ゴールドプラン」のCM。女子大生4人が登場し、「試合の件は電話して」「いいよ。私にかけるとお金がかかるし」「あ、そっか。ソフトバンクじゃないんだ」などと会話する。さらに、料金の説明とともに「友達は大切に」というテロップを流している。同社は苦情件数を公表していないが、「いろいろなご意見はいただいている」と話す。
 日本広告審査機構(JARO)には、「いじめを助長する」「やりすぎ」などの苦情が相次いでいるという。寄せられる意見は通常は週に30〜50件だが、このCMだけで11〜17日に250件以上あった。JAROは「これだけいじめが問題になっている中、問題と感じる人が多かったのでは」と推測する。ネット上では「通話料が無料じゃないと友達になれないのか」などという書き込みが殺到している掲示板もある。
 同社は「ターゲットは中高生や大学生で、『通話が無料なので、友達と交流を増やしてほしい』という思いを表現した。いじめを意識してつくったものではないが誤解を招いた。視聴者の意見を今後もCM制作に生かしていきたい」と話している。【長野宏美】