毎日新聞が
アメリカによる凍結朝鮮預金の朝鮮への送金保証がうまくいっていないという
アメリカ側の報道をのせていた。心配している。
朝鮮は、送金が行われたら核除去を始めるといっているのだから、
このままだと、朝鮮半島の非核化が止まってしまう。
日本メディアや政府筋は、それを望んでいて、その場合朝鮮が悪いというイメージ宣伝をしきりにしているが、これは、約束を履行できないアメリカの方が悪いのである。
アメリカは、イラク戦争反対の高まりなどもあって、守勢に回ったブッシュが日本よりいちはやく封じ込め政策をやめて対話に入ったわけだが、もちろん、それに反対の国内勢力をかかえている。早い話が、イラク侵略がうまくいっていないので、アジアでもめごとをする余裕がないからなのだから、まだひっくり返る可能性はあるのだ。
日本の安倍や右翼勢力はそれを望んでいる。
軍事産業のない日本の資本家たちは、今のところ、中国朝鮮アジアとの友好経済交流の方が利益になるので、読売のように、安倍を押して、朝鮮中国との和解をすすめさせようとしており、安倍のもとでそれが可能だと思っているようだ。軍事産業が日本にあれば、戦争の方が利益になるから、逆になったかもしれない。軍事産業がないのは、もちろん日本国憲法の平和主義があったればこそだ。
だが、それもこれも、アメリカの今の方針転換がちゃんと進むことが前提だ。
日本の独占資本家たちは、個人的には立派な見識の人もいるのだが、総体としてはアメリカにたてつくだけの自立した力は持っていない。
だから、心配している。
アメリカには、戦争をすればするほど儲かる軍事巨大産業があるのだから、まきかえされないとは限らない。
この方針転換は、おおむね、評論家の田中宇さんが自分のホームページで主張されている世界の多元主義化の方向であり、地球の基本的な方向についての彼の主張は正しいと思っている。が、それは、アメリカの覇権がなくなるということを意味するわけで、菅井には、田中さんのように、アメリカが自分からその覇権（アメリカの軍事力、世界中にある米軍基地、世界中どこでも狙える核ミサイルの所有がそれを可能にしている）を手放すとは思えないのだ。
だから簡単ではない。アメリカ側の送金遅滞が意識的なサボタージュかはわからないが、深刻な事態だと思う。アメリカは一刻も早く送金を実際に保証するべきだ。
付け加えておくと、
封じ込め戦略とはアメリカ中心の世界支配をつづけることである。これをやろうとすれば、最近のアメリカの下がり気味の国力からすると、敵をへらし米軍の代わりに戦ってくれるイギリスみたいな軍隊をふやさなければならない。敵は味方にならなくても、中立化させる必要がある。敵とは、たとえばアメリカのいうなりにならないロシアや中国である。当てにしている軍隊とは、たとえば日本のことである。
アメリカは前は日本は戦費を肩代わりしてくれれば、直接戦争に参加しなくともいいといっていたが、今は多分そんなことはない。イラクでは正規軍の半分とかの大変な数にのぼる戦争会社の傭兵が使われていると聞く。兵士が不足しているのだ。交代要員にも事欠いているのに、増兵せねばならない。陸自が先守防衛などといってイラクから引き上げたり、アフガンとかに行かないのは内心がまんならないことだろう。
でなければ、安倍が憲法改正を待たずに集団的安全保障、つまりは軍事同盟で、他国（アメリカ）のために戦争できるように無理な解釈をひねり出せなどと突然言い出すはずがない。安倍のアメリカ訪問の後で言い出されたことをみても、アメリカに要求されたに決まっている。
アメリカは、日本国憲法ができて、すぐに、九条は失敗だったとはっきり言った。そして、実際に改憲圧力をかけてきた。当時の諸民の平和運動の高まりと、経済復興に専念したいという日本独占資本の希望とがあいまって、その時の総理が屈しなかったのだ。
はじめから憲法改正はアメリカの圧力によっているので、日本の自主的な力に基づいたものではないじゃないか。日本が米軍占領下だということを忘れているのだ。
