パレスチナ内戦の危機

 パレスチナの情勢が危機的になった。
 対米イスラエル傾斜を深めるアッバース大統領と、選挙で勝利していたハマスとの対立、戦闘はついに、ガザ地区でのハマス側の勝利アッバースらの大統領府からの逃亡で、分裂にまで達した。支配地域に閉じこもったアッバースアメリカの支持を得て、自分の地域に自分たちだけの非常事態政権を樹立した。これに対して、ハマスは選挙で勝利した自分たちに組閣権はあり、それを承認していない。これを機会として、アメリカはアッバースらへの治安部隊設立のための直接資金援助を発表した。パレスチナ内戦を公然とあおっている。今までパレスチナ政府に課していた金融制裁もアッバース派の非常政府に対して解除を決めた。アフガニスタンイラクに続いてアメリカはまたしてもまちがった判断をしようとしている。
 パレスチナ人の生存はきわめて危険な状況になったといわざるを得ない。


 イスラエルの撤退とパレスチナ自治、独立を保障する方向は進んでいたのであり、合法的な選挙により支持をあつめてできたハマス政権も合法なものであり、また、ハマスを除いたパレスチナ問題の解決などあるはずもない。パレスチナ人民に平和に生存する権利はある。それを金融制裁、援助の停止などの理不尽な制裁、さらには内戦の一方への加担で犯しているものこそ、人道の敵である。


 中東で新たなる戦争が始まるなら、それは平和と人道、世界経済にとってきわめて深刻な事態になる怖れが高い。日本に対する影響も決定的になる。


 日本にとって平和が価値でないかどうか、しっかりと考えてみる時である。


 またしても日本政府はアメリカに倣って、選挙で支持された政党を公然排除したこのアッバース派非常政権への支持援助を決め、戦争拡大派に加担するのだろうか。