国会開始を目前にして

 私は60年安保闘争を実体験としては知らない。だが、国民的闘争 敗北の悔しさと理不尽への憤りは、先輩たちの話を通じて、また、当時のすぐれた真面目な映画、ドキュメンタリを通じて受け継いだ。
 岸信介は私にとって、戦後日本に対する最大の極悪人である。その極悪人をこよなく尊敬するという安倍晋三が総理となって岸の望んだ憲法改悪を断行すると言ったとき、私は安保闘争の時の仇討ちの機会がようやく廻ってきたと思った。江戸の仇を長崎で討つ、である。忠臣蔵である。
 事柄は参議院選挙以降、私の望むような方向へと進みつつある。安倍晋三内閣がぼろぼろになればなるほど私の復讐心は満足される。
 テロ特措法が最終的に自民党内閣の命脈を絶つことになりそうである。
 小沢氏の法律主義からくる反対はアメリカの世界戦略の悪事を言わないので気にいらないが、安倍自民党を追いつめつつある。自民党は、特措法を延長というやり方でするのではなく、新法を出すということにしたらしい。延長法案だと期限までにとおらない場合、即廃案になってしまうのに対し、新法なら、期限が過ぎても、参議院で否決されても、再び衆議院で通せば有効となるから。だが、単なる延長ならスルーできる議論を新法だといちいちしないわけにはいかない。そして、派遣の国会事前承認を容れて民主党の賛同が得られたとしても、自衛隊の派遣自体の国会承認は参議院の反対でできないであろう。
 私個人は、延長法案にしてもらって、自然廃案となる瞬間を安倍晋三がなすすべもなく見送るという状況を是非見てみたかった。それもまた私怨である。


 私はウヨクの諸君に同情する。私にとっての安保闘争にあたるものが彼らにとっては、大東亜戦争である。彼らも東京裁判を行ったアメリカへの復讐心に燃えて、ぼろぼろになりつつあるブッシュ大統領と世界帝国アメリカへの憎悪を発散すればいいものを。だが、彼らは安倍首相とブッシュを不本意であろうとなかろうと、支持している。絶対服従なのだ。内面の葛藤はいかばかりかと同情する。というか、無原則、無思想へまっしぐら、だろう。こころあるウヨクの諸君は、今後、ますます、われわれ安保反対の側に接近せずにはおれないだろう。1960年の時だって、アメリカに心を売らないウヨクはいたのだ。 


以下引用