わたしは誰のいる世界に住んでいるのだろうか

わたしは自問する。
わたしは誰のいる世界に住んでいるのだろうか。
わたしは何のない世界に生きているのだろうか。
わたしが生きているのは誰によっているのだろうか。
わたしが生きているのは何がないからだろうか。
わたしが生きているのは、わたしがいなくなったのちも存在するどんな世界のためだろうか。
わたしが生きているのは、わたしが死んだ後も生き続ける、どんな人々のためだろうか。 
わたしは誰と誰と誰のいる世界に今生きているのだろうか。
わたしは何がない世界を生きようとしているのか。



われわれはどうやら呪いの中にあるようだ。
人々がうごめき、つながり、生きようとしている。
だが、何度も何度も何度も分断され、さげすまれ、傷つき、ひきさかれてしまう。
それは 骨がらみ、体の芯底まで沁みとおってしまっている。
一緒に行こうぜ、というときに、もうやれない、と言う。
これからだという時にあり得ない、という。
そして、蔭に潜んで機会をうかがっていたメフィストフェレスは、
誰にも気づかれないうちに去ってしまう。
誰もそのことを知らない。