絵に描いたような戦前回帰

中教審は絵に描いたような戦前回帰をたどっている。「大日本帝国」文化の復活ということだ。
「武道」の必修というが、それはすべて明治以降に体制化され、パターン化されたものにすぎない。
今日、体操、武術の人々の中で、うごきそのものの具体的な検討、古武術の研究などを通して、明治以降に失われてしまった日本人の体のさばき方、成り立ち方などが再発見され、明治以降軍隊教育によってゆがめられた日本人の体のあり方を正す可能性がひらかれつつあることは本当である。
だが、中教審が復活しようとしている「武道」なるものはそれらをかつて非合理としてつぶしていくことで制度化全国統一したものである。講道館柔道を典型として。そういうものを予算と利権で増殖、日本の子供たちに押し付けてしまうことは日本人のためにならない。
 順位争いや、勝ち負けから独立した、真に体を育てる教科としての「体育」の理念からはますます遠ざかるものである。


中央教育審議会>「武道」必修化を大筋了承

9月4日19時21分配信 毎日新聞

 学習指導要領の改定作業を進めている中央教育審議会文部科学相の諮問機関)の専門部会は4日、中学校の保健体育で選択必修になっている武道(柔道、剣道、相撲など)を1、2年生の男女を対象に原則、必修化することを大筋で了承した。昨年12月改正の教育基本法に盛り込まれた教育目標「伝統と文化の尊重」の実現を目指す。
 この教育目標は「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」といういわゆる「愛国心」表記として、賛否を呼んでいた。
 専門部会は、武道の必修化は教育目標と一致するとともに、子供の成長過程を考えると、中2までは、男女ともに複数の競技を体験させるのが望ましいと判断した。
 現行の学習指導要領では、中1が武道かダンスのいずれかを選択。2、3年生は球技、武道、ダンスのうち二つを選択することになっており、男子でもダンスを行うケースがあるという。
 文科省が公表した来年度予算の概算要求でも、教員の武道の指導力向上などを目的に、地域の道場や体育系大学と連携などを行う新たなモデル事業に約5000万円を計上するなど「武道重視」の方針が打ち出されている。【高山純二】