米国にとって日本との関係が世界で最も重要なのは・・・

 天木直人さんのブログに日経新聞の今日付けで、
日経新聞が招いたアメリカのアーミテージ氏の発言として
「・・・米国にとって日本との関係が世界でもっとも重要なのは、日本が世界第二の経済大国であるためなどではない。日本の人々が政府を通じて米軍基地の使用を認め、安全保障上の(米国の)守備範囲を広げてくれるからだ・・・」
と書いているとあった。
 菅井は本当なのだろうか、と思った。
 アーミテージといえば、第一期ブッシュ政権の閣僚である。今はやめているといっても、責任ある人物である。「知日派」ともいわれている。
 そういう人が、日本側に招かれて、講演して「アメリカにとって日本は、基地があるから重要なだけである」、などと失礼なことを言うとはちょっと信じられなかったからである。
 日本人の多くはそういうふうには思っていないのだ。日米は自由主義という価値を共有する同盟国であり、日本の基地もアメリカが日本を中国や朝鮮から守ってくれるためのものだと思っている。一方的に守ってもらうのは悪いから、金も出さなければならないし、自衛隊アメリカの戦争に協力(集団安全保障というやつである)できるようにしないと申し訳ないと思っている。アフガンに給油くらいしかできなく申し訳ない、イラクでも戦闘に参加できなくてすまない、早く、そういう事もできるように解釈でも改憲でも必要ならしなければならない、そうでないから、いつまでも、日本は体をはっていない、と非難されるのだ、と思っている。
 だが、この発言はその思い込みを真っ向から粉砕する。だから、本当にそういう発言なのだろうか、と思ったのだ。
 めったに買わない日経をコンビニで購入した。27日朝刊33面にそれはのっていた。


 アメリカでの日経新聞国際版発行20周年を記念して
「東アジアの未来と日米関係」というセミナーを日経新聞がニューヨークでおこない、アーミテージ氏を招いた、彼の発言はそのセミナーの基調講演なのだった。セミナーに参加したのは日米の企業の幹部約440人だとのことだ。


 驚いた。読んでみると確かにはっきり書いてある。《米国にとって日本との関係が世界で一番重要なのは、米軍基地の使用を認め、安全保障上の守備範囲を広げてくれるからだ》と。


 講演の後半部分を全文引用する。

《 民主党小沢一郎代表は、海上自衛隊によるインド洋の給油活動の根拠となるテロ対策特別措置法の延長を阻止しようとしている。湾岸戦争時に日本は「普通の国家」になれと主張し、本まで書いた人間が反対するのは、大変皮肉なことだ。
 米国にとって日本との関係が世界で最も重要なのは、日本が世界第二位の経済大国であるためなどではない。日本の人々が政府を通じて米軍基地の使用を認め、安全保障上の守備範囲を広げてくれるからだ。

ーー今後の日米関係は大丈夫か。
アーミテージ氏 米政権内の「アジアの影響」の欠如を懸念する声は上がっている。実際、ネグロポンテ国務副長官以外はアジアにあまり詳しくはない。ただ、軍事部門の司令官クラスは米・アジア関係に精通しているので、日米関係の懸け橋になるだろう。

ーー北朝鮮テロ支援国家リストから外すのか。米朝関係の行方は?
アーミテージ氏 北朝鮮をテロ指定リストから除外するかは、私には判らない。もし北朝鮮がシリアに核技術を移転した可能性があるという報道が事実なら、検討を遅らせる影響はあるだろう。

ーー米国が日本を通り越して中国に近づく「ジャパン・パッシング」の懸念は。
アーミテージ氏 日米は人権など基本的な考え方を共有し、中国とは距離がある。中国で大きな変化がない限り、米政権が関係を劇的に変えることはない。》引用終


 天木さんの引用はその部分のほぼ全引用であり、解釈もその通りだと確認した。菅井は、日米安保も米軍基地も、日本を守るために存在しているのではないことを、多くの日本人に理解させることは大変なことだと思っている。だが、元ブッシュ政権閣僚アーミテージ氏はそれをあっさり当たり前のように言ってのけているのだ。
 これは正直というよりは、日本を小馬鹿にした態度ではなかろうか。こういったって日本人は怒るまい、というのだ。あるいは、そういったところで、日本人は真実を理解しないだろうと思っているのだろうか。

 この講演のラストの中国とのことでも、菅井は眼を疑った。
これでは、中国の民主化が進展したら、アメリカは日本を通り越して、中国に近づき、日本を置き去りにするかもしれないということだ。アメリカにとって、日米の関係は中国しだいで変わるようなものだというわけだ。菅井は最初、「日本側に大きな変化がない限り、」のまちがいではないのか、と思ったがきっと、この通りなのだろう。属国日本が変化する可能性など、宗主国の支配層アーミテージ氏は思ってもいないのだろう。