批評をするもののあり方

 森田実氏は、25日の自身のウェブページで、民主党内で小沢氏の大連立の迷いにつられて、大連立がよいのではないかと思い出した民主党員がけっこういることに言及している。しかもその人たちの何人かは、わざわざ正反対の立場であることがはっきりしている森田氏に手紙を書いて、そういってきたのだそうだ。これこそ、森田氏の民主党における信頼と権威のあらわれなのだなと思った。森田氏は、この前の参議院選挙のために民主党を応援してまわった。とりわけ、地方の立場に自信をもつようにと、今の自民のアメリカ追随の新自由主義地方切り捨てであることを喝破し、くりかえし説いたのである。小沢氏がドブ板選挙の手法で全国をまわったことだけで民主党が勝利したわけではない。その森田氏だから、小沢氏の姿勢を見、大連立にひかれた民主党員も手紙を書いてきたのである。それを受けて、森田氏の応答も実に丁寧に応えている。大連立の非理を説いている。
 党で決めたことに従うと言った小沢氏は、次の選挙までは、自説の大連立をひっこめて、野党連合方針ですすむ。もう一度ひるがえすことが政治家としての自身の自殺行為であることはよくわかっている。ただ、民主党員の中から、下から大連立を望む声がもりあがり、多数になるようなことがあれば別である。小沢氏は、国民を見てはいないが、党内は見ている。だから、森田氏のような人がきちっと理を説き、民主党員に大連立のような方針に迷わないようにすることは重要である。
 世にすっかり倦んでしまったために、政局に埋没し、大連立をあおるような発言に終始する御仁は何をいってもどうでもよいのだが、批評をするものは、自分のいる場所をよく理解して発言しなければならない。森田氏には、政権交代を実現するためにまだいっそう働いていただきたいと思う。