ある異和感

ゴーリキーの部屋」ブログ「接客業が不人気なわけ」(12/14)に、飲食業に従業員が集まらないことを、若者が接客がにがてだからではなく、飲食業の従業員の賃金が安すぎるからだとの主張が書かれていた。その論旨には賛成である。だから、低賃金でも働く外国人労働者が増大し、ネットウヨクが苦々しく思う状況が粛々と進んでいる。だが、次の部分には、つまり、アメリカのようなチップ制度の導入と接客業のプロ化を(アメリカでは接客業は標準化した接客パターンを身につけた接客プロの白人の独占になっているのだそうだ)、という部分には異和を感じた。

 《米国では、席に座ってからデザートを食べて会計を済ませるまで1人が接客を担当する。そしてその担当者は、能力に応じて任されたテーブル数や客が注文した料理の単価によってチップ収入が変化する。
 つまり、テーブルを多く担当し、尚且つ回転率を上げれば上げるほど、追加注文を取れば取るほど収入が上がるわけだ。そりゃ頑張らない方がおかしいさ。
 しかしながら日本においては、最初から最後まで1人の担当者が担当することは極めて稀だ。多くの場合、案内係、水出し係、注文係、料理運び係…などなど、その作業に応じて人数を配置する場合が多い。そして多くの場合、各テーブルがどのような状態にあるかを理解するものは店に一人も存在せず、水出しや料理運びなどの多くの能力を必要としない作業者にクレームが集中する。》

 菅井が単にこんな飲食店をめったに利用したことがないからかもしれない。追加注文もたまにしかしないし、水だし係も注文係も料理運び係も皆一緒がたいていだ。案内係も一緒か、いないことが多い。何もしないで、ああしろこうしろと指図する男が一人、たまにいたりはするが。「ゴーリキーの部屋」氏は、金持ちが利用する高級料理店のことを言っているのだろうか。それとも菅井でも時には利用する居酒屋チェーン店のことを念頭に置いているのだろうか。

 マニュアル化は、たぶんプロ養成のためではなく、どんなしろうとでもおなじ仕事ができるように開発されたはずである。それも、意味なく複雑になれば、ふつうの人には身につけられない「プロ」仕様になってしまうだろうが。