社会主義とは何かについての手がかり

社会主義とは何かを考えるとき、何をキーワードにすればよいか。
ある人は全体主義といい、またある人はコミューン国家ないしは労働者の権力
といい、
ある人はアソシエーションといい、
またある人はユダヤ人の陰謀といい、
ある人は階級闘争といい、
ある人はロシアだ支那だといい・・・

資本主義といったら、
資本の運動(資産価値を高める)や
自由な(つまり、資本家の好き勝手な)経済活動
搾取
と、わりとはっきりとらえやすいのに比べると

社会主義はよくわからない。

それはそのはずだ。これが社会主義だといった見本例だったソ連が東欧の社会主義国といっしょに二〇年前に倒れてしまったからだ。中国やキューバベトナムや朝鮮やは、まだまだソ連の亜流と見なされているから、すでになきもの、幽霊のようなものと扱われたりしていた。ものがないのに、それについて語ることなど、雲をつかむような話ではないか。

そう思っていて、「社会評論」の最新号を読んでいたら、社会主義とは、計画だ、という言葉が目にはいった。ソ連なども含めての、理念ではなく、現実の総括から 、語られたこの言葉は、僕をハッとさせた。そうかもしれない。だが、社会主義社会で初めて発生した、全社会的な生産の計画の試みについて、それとして語ったものを見たことがない。
資本の運動法則に代わるものが何であるか、はっきり語られたことはなかったように思う。むしろ、社会主義においても、ゆがめられた資本の運動法則が貫かれていたとする見解が多いように思える。過度期だから仕方がない、であるか、だから社会主義の理想など幻想だ、となるかはともかくとして。

だから、社会主義社会における主要な法則は、資本の運動ではなくて、計画だ、という断言はテーゼとして、僕の心を打った。
これは、正しいかもしれない、ということだ。