自殺者と餓死者 そして行き倒れ

たまたま家の中で、知られないうちに餓死した人々のニュースがあったからか、サンケイが餓死者についての記事をのせている。
だが、サンケイはセーフティネットなどいらない、だろう。自己責任だろ。
サンケイの言とは反対に、日本のセーフティネットは完璧である。親戚、親、兄弟のある場合は、生活費分を援助する義務がある。そういう親戚がいないか、親戚にその力のない場合、生活保護をもらえる。だから、すべての飢餓線上の諸民はちゃんと救済される・・・

だが、それは法律の上のことだ。現実には、生活保護は出されない。
システムが生み出している自殺、餓死、行き倒れ、同じことだ。それはいずれも、システムの犠牲者、あるいはシステムへの抗議者である。


以下引用
《餓死者、バブル崩壊後急増 セーフティーネット不備映す

産経新聞 2月26日(日)7時55分配信
 さいたま市で親子3人が餓死とみられる状態で見つかった問題で、全国の餓死者はバブル崩壊後の平成7年に前年の約2・8倍の58人に急増、それ以降、高水準で推移していることが25日、分かった。22年までの30年間の餓死者数は1331人で、うち7年以降が8割以上を占めた。専門家はセーフティーネット(安全網)のあり方の見直しを呼びかけている。

 厚生労働省の「人口動態統計」によると、死因が「食料の不足(餓死)」とされた死者は昭和56年から平成6年まで12〜25人だったが、7年に58人、8年には80人を突破。それ以降、22年に36人となるまで毎年40人以上で推移し、過去30年間の最高は15年の93人だった。

 50代の死者が多いのも特徴だ。22年までの16年間で50代の死者数は348人、60代が252人、40代が185人に上り、40〜60代で全体(1084人)の72%を占めた。男女比は30年間で男性が女性の約4・5倍と圧倒的に多かった。

 死亡場所は「家(庭)」が多く、59〜85%(7〜22年)を占める。このため、行政や地域社会のセーフティーネットから、何らかの理由でこぼれ落ちていた可能性も指摘されている。

 貧困問題や生活保護に詳しい小久保哲郎弁護士は「餓死者の急増はバブル崩壊後、急速に景気が悪化した時期と重なっている。当時、雇用状況の悪化に伴ってリストラなどで失業者が増加した」と指摘する。

 また、高齢者ではない「50代男性」の餓死者が多いことには、「稼働層といわれる働き手世代のうち、年齢的に再就職が難しいことから50代が突出したのではないか」と分析した。

 女性よりも男性が多いことについては、「男性は自立できるはずという強い社会規範がある」とし、行政などから助けを受けることに心理的抵抗を感じている可能性があるとみている。

 不況が続き、今後も餓死者が増える恐れがあることから、小久保弁護士は「労働と社会保障の仕組み全体を改善する必要がある」と話している。》