高田渡氏の訃報をきいて

4月16日早朝に高田渡氏がなくなったと知った。「フォークソングの仙人」高田渡である。だが、その呼ばれようとは全く反対に、東京の現実社会の中で酒を飲み、貧乏とつきあい、唄を歌いつづけていた。多くの唄い手が歌うのをやめ、あるいは別の歌を歌うようになった中で、彼一人が40年前のあの地点にいた。数少ない、今現在のフォークソングシンガーだった。朝日新聞のおくやみ記事は、その体質さながらに、彼を過去の栄光の人としかみなさないが、数年前、フォーク絶滅寸前で彼は大きな力を発揮した。私はマンダラその他で数回のライブを見、テレビの深夜番組で、フォーク復活のために唄うのを見ただけだ。が、彼のその力がなかったら、若い人の間にフォークが復活することはなかったと断言できる。今の日本には彼のような唄い手、語り手がもっと必要である。そのことはもう少しすればはっきりわかる。黙祷。

 敵・産経新聞の訃報記事より、引用しておく。「一時体調を崩していたが、平成十二年ごろから活動を活発化、十六年には高田さんの日常を追ったドキュメンタリー映画タカダワタル的」(タナダユキ監督)が公開されるなど、若者にも再評価されていた。生涯最後に歌った曲は「生活の柄」だった。」