ネット巡り雑感

きょうは、若い人には分からないことを書かせてもらう。

〈「2丁目3番地」
日本テレビ 1971年 脚本:倉本聰 演出:石橋冠
        出演:石坂浩二浅丘ルリ子真樹千恵子水森亜土
 当時を代表する美男美女、スマートな石坂浩二と洗練された浅丘ルリ子の競演が話題になり、さらに1〜3月の放送中に婚約発表、5月には2人が結婚するというおまけつき。
 役柄が浅丘は美容院をバリバリ経営する強い妻、旦那の石坂浩二は売れないテレビディレクター、ねんねこ姿でぼやく石坂をどなる浅丘という意外性で人気に。
 従来のホームドラマが善人ばかりなのに対し現実を反映しだれにでも共感できるようにする、という狙いのもと、ウーマンリブの世相とがんばれ亭主!のテーマを描いた。〉

 ネットに以上のような紹介があったが、ボクが感じたものとはそうとうかけ離れている。
「2丁目3番地」は、その後の、「3丁目4番地」とともに、共同体や家族の崩壊を人々が誠実に生きるという哀しくも切ない物語だった。ボクはそこにその時代を観ていた。
 あの時でしか存在しえない、そういう話だった。その後に、今のような時代が来るなどとまだ想像もできない時であった。ハイパー消費社会を描くボードリヤールの議論が読んでもまだ実感がなくなにをいってるのかわからず、マツキヨなどは存在しなかったから、ドラッグストアというものがアメリカにあるというが薬局でなんでジュースを売ってるの?と思っていたころだった。スーパー(安売り量販店)はあったが、コンビニも知らなかった。
 だから、こういう風に普通に書かれると、ちがうと思う。

 「天下御免]や「お荷物小荷物」が痛快なくらい時代を笑いとばしてくれたのに対して、「2丁目3番地」や「6羽のかもめ」は、失われていく共同的なものに対するオマージュであった。ボクがテレビドラマを真剣に観ていた短い期間のことである。