春秋の筆法

 「日本のおかげですべてアジアの諸国は独立した。」という見解がある。インドネシア大日本帝国がオランダを追い出し占領したおかげで、戦後独立できた、というようなことである。
 これは日本の大東亜共栄圏インドネシア占領)を天国のように描き出そうとして、侵略責任を否定しようとしてよく使われる。
 だから、こうした言い方は本当は正しくない。
 だが、それまで西欧諸国の植民地、半植民地であった国が、日本の侵攻のあとで、すべて独立したということは本当なので、一面の真実ではある。
 このような説明のしかた、論法は「春秋」の筆法と呼ばれるものだ。

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 春秋の筆法(ひつぽう)

1 孔子の筆になるという「春秋」のような厳しい批判の態度。

2 〔「春秋」が些事をとりあげて、大局への関係を説く論法であることから〕間接的な原因を直接的な原因として表現する論法。また、論理に飛躍があるように見えるが、一面の真理をついているような論法。(大辞林
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 1については、孔子が古代中国のすぐれた政治家・思想家であり、西欧文明にとって代られるまえに、日本の教養の中核にすわっていた儒学は彼の思想から生まれたもので、「春秋」は孔子作と伝えられる歴史書で、儒学の必修教科書のひとつだというぐらいにして、2の方がこの場合の意味だ。
 
 さて、「日本のおかげですべてアジアの諸国は独立した」という命題において、
日本の支配は間接的(些事=とるに足りないこと)原因でしかない。では、本当の直接的な原因は何だと菅井は考えているのでしょう?

 ということは、練習問題ということにしておく。答えがわかった人は菅井までメールしていただければ、採点してお返しします。

 さて、今日の日記で書きたかったことは、実はそのことではありません。

 「日本のおかげでアジアの諸国は独立した」というのは、やっばり一面の真理をついているのです。
 インドネシアにこの論法がなりたつなら、中国では、中華人民共和国となって実現したということになります。「日本の中国侵略のおかげで、中華人民共和国はでき、アジア地域は西欧(特に昨今はアメリカ)から独立できました」なのです。
 しかも、昨今の東アジア、東南アジアの共同体構想は、中国を中心にして、真の大東亜共栄圏の再来の様相を呈しています。日本がそこからはじかれてるのは遺憾なことですが、過去の日本の大東亜共栄圏をめざしての身を捨てての戦いは、満州国を軸としては実現しませんでしたが、今日こういう形で実を結びつつあるのではないでしょうか。靖国にまつられた、未だ癒されない英霊の方々も、自分たちの犠牲がムダではなかったと知って納得されるのではないかと思います。
 以上のことは、決してちゃかしているわけではありません。大和の映画が大宣伝上演のようですが、沖縄に向けていく大和艦上で、臼淵大尉が皆に説いた言葉を思い出してみてほしいと思います。
 また、このようなことを考えた人が過去にいなかったわけでもありません。右翼の林房雄氏は「大東亜戦争肯定論」という本の中でこれに近いことを書いていると思いました。

 さて、ここまで書いてみて、フクダユウイチさんのピースフルラウンジ12月22日付けの「東アジア共同体の盟主は日本ではなく中国になるでしょう」に同じ結論が既に述べられてしまっていることに気がつきました。さすが、唯一神、神のステージは限りなく高いですね。
 2チャネラーネット右翼を独特の語り口で魅了、翻弄し、ネット上完全勝利を達成した諸民の英雄フクダユウイチさんについては、「浪速金融道」の故・青木雄二さんと同じ唯物論者の菅井としては、2チャネラーとは反対に、人間になれるようにと、切に願っているんですが。ほら、天皇陛下だって、ずっと前に人間宣言してるんですから。