日本はアジアの孤児ですよ

 イラク侵略の次が、イランになるか朝鮮になるか、わからないが、アメリカがそれを泥沼のイラクよりうまくやる可能性は、まずない。
 イランの核開発問題を主導的に問題にしていたのは、イスラエルであったが、すでに武力行使に及び腰になっている。イラク侵略がうまくいっていないのを目の当たりにしたからであり、アメリカによるイラン攻撃は、イランによるイスラエルに対する攻撃を必至とするからである。
 朝鮮に対して、かつてのイスラエルと同じ役割を果たしているのが今の日本国である。日本国は、朝鮮のノドンミサイルの実験と長距離ミサイルないしは人工衛星打ち上げ実験に先んじて、日米合同で、朝鮮への上陸作戦並びにミサイル発射をも含む、朝鮮を仮想敵国とする軍事演習を行った(自衛隊が、ということだ)。(かつて参加していた韓国はすでに離脱している)
 朝鮮のミサイル発射実験は、アメリカに対する直接交渉せよとのメッセージであるが、日米の威嚇演習に対する対抗という面も明らかにあるのである。向こうばかりを非難することは筋が通らないだろう。
 その上で、このたびの、「国連加盟国全員に強制的に」朝鮮に対する「武力行使をも含む」制裁に加わることを義務づける制裁決議案を、小泉首班とする日本国が先頭に立って提出しているわけである。
 軍隊を持たないはずの日本国の主要閣僚の一人は、先制攻撃してもよいとまで言っているのだが、その日本国という国家は、なんと、軍隊を持たず平和立国をたてまえとする憲法を持っている国家なのである。
 60年平和を守ってこれたため、戦争を知らない「政治家」や「右翼」が、怖いもの知らずの愚かさの故、こんな状況を造ってしまっている。イスラエルは戦争にあけくれた国家だから、戦争の悲惨さも知っている。だが、日本の、まともなリアリズムを持たない「政治家」たちに歯止めがあるとは考えにくい。流されるままに60年前と同様に、民族滅亡へと導いていくしかない者たちである。
 ただひとつ、アメリカが及び腰になって、止めたならば、日本国の猪「政治家」たちの猪突猛進もすみやかに止まるに違いない。アメリカがそう動いてしまう可能性が零とは言えないところが、また、喜劇的でもあるのだが。