閑話休題

 依然として、いや、前にも増して、好戦的、国家主義的思想が支配している日本であるが、振り返ってみると、ここ一年ばかりで、一つだけはっきりと変わったことがある。
 それは、日本国がアメリカべったりであるということが人々にあまねく知れ渡ったことである。これは、日米構造協議なるものの存在を知らしめた関岡英之氏の貢献が決定的であった。そして、いくつかの政府の決定、牛肉輸入問題とか、郵政民営化問題とかがアメリカの意向にしたがっているということも明らかになった。このたび、アメリカの説得を受けて国連での朝鮮制裁決議をひっこめたこともまたその一つである。
 そして、たとえばネット「右翼」と言われている人の大半が、アメリカべったりの小泉首相とその後継者に目されている長州藩安倍晋三の支持者であり、アメリカへの従属を平気で受け入れて恥じない「家畜人ヤプー」のような温順な国家主義者であることが明らかとなった。右翼とは名ばかり、反米や民族独立は、彼らのスローガンではないのだ。彼らは、時代の趨勢にのって保守主義を主張し、自分たちの勢力が強いとみるとネット上で平和主義者いじめに加わる、という点では、「好戦的」だが、戦争体験など微塵もない、自分たちの好戦主張や差別言辞に見合わない平和主義者たちであることもはっきりした。(少数の例外はある。反小泉に立った、筋の通った右翼もいる)
 そのくせ彼らは、朝鮮や中国を侮蔑するという、過去の尊皇攘夷思想の悪い伝統は継承している。
 現状追随で、現実に対する批判的思考をしない彼らも、自分たちのそういう姿はあまりかっこよくないことを薄々と感じ始めているにちがいない。