日本国憲法 第九条

 現在世界はイスラエルレバノン侵略開始で、戦時中といってもいいほどの状況になってしまった。
 ほしがりません、勝つまではの過去の話ではないかと思われるような、石油の高騰によるクーラー節約、サツマイモではないが農産物からとるアルコールでつくった代用石油の使用、物価高騰にそなえてトイレットペーパーの買い占めなどが行われている。
 戦争は確実に諸民の生活を破壊しつつある。
 アメリカによる金融制裁と、国連での一方的な朝鮮非難決議にはじまる日本を先頭にした制裁行動は、朝鮮に準戦時体制のような緊張を呼び起こしている。日本をめがけて向いているミサイルに何が搭載されているしらないが、麻生大臣が、迎撃ミサイルの日本配備をいそいでとアメリカにおねがいしたところで、間に合うものではない。そもそも、そんな精度もない迎撃ミサイルである。
 アメリカに日米安保で首根っこをおさえられている日本国の選択は、いずれにしてもアメリカにさからえない。世界のいたるところへ日本の自衛隊は行かされてしまうだろう。アメリカ追従の戦争策は、ようやく地域として経済力をつけつつある東アジア地域にとって、大打撃になる。
 それに対する歯止めになるものは何か。日本国憲法であり、とりわけその第九条の軍隊をもたないという条項である。今、自衛隊イラクにまで行かされており、それ自体違憲の疑いは高いが、戦闘部隊としての参加ではない。そのようなことが許されているのは、日本国憲法が禁じているからであり、憲法改正して軍隊となせば、戦闘部隊としての参加を拒むことはできず、軍装備の拡大なども強いられるであろう。
 アメリカが平和主義政策をとっているのであれば、まだよいかもしれないが、今のような、先制攻撃論に立って、アフガン、イラク、イラン、朝鮮、果てはキューバ内政干渉と軍事侵略をしかねない、しつつある状況では、憲法を変えることは日本がアメリカから身を守る武器を自分で手放すに等しく、きわめて危険である。また、国連の名のもとに、レバノン、イラン、朝鮮への軍事行動の可能性だってないとはいえない。第九条二項を変えてしまえば、その時にも戦闘部隊をだすことを拒めない。イスラエルレバノン侵略を見ても、もはや戦争の拡大は、当事者国家のコントロールできていないものになっているように思われるだけに、火中に火を投じるような、日本国の最高法規を変えてまでの、この時期における再軍備宣言など、愚の骨頂である。
 それなのに、次の総理になる可能性大の安倍晋三は、小泉政府同様に、そうした配慮に乏しく、国会の多数を頼んで、再軍備に突っ走るおそれが大であり、一刻の猶予もない。
 「現在のような国際情勢のもとでの」、憲法改正、実質的な再軍備宣言に反対する連帯が望まれるゆえんである。