雑・三題

いくつかのことを羅列しておく。

◎小泉総理が、終戦記念の日に靖国を参拝したことで、海外反応がいくつかニュースに載せられている。

 中国、韓国、朝鮮の三国の批判的反応が一番大きいのは、日本が行なった侵略の被害の大きさから言って当然である。国家からも、国民からも批判行動が上がっている。いつぞやのような、激しい大衆抗議の形態ではなく、だいぶおちついた抗議である。ネットでの抗議も展開されている。
 この三国は、日本国との国家間の関係樹立の根本前提が過去の日本の侵略行為に対する日本側の認識・謝罪(明言されていなくても)である国なので、その批判は厳しく、相互の国家間のつながり自体が危うくなっている。

 他のアジアの国+太平洋諸国であるオーストラリアは、批判、憂慮を表しても、日本との国家間の関係自体には及ぼすつもりがないというスタンスである。表現の仕方はいろいろあるのだが、右翼は、ブッシュの態度についても含めて、これらを靖国参拝支持として宣伝するのであろう。だが、それは違う。
 とりわけ、アジアのほとんどの国は、日中韓を含めたアジア経済圏としての協力結束を求めており、日本の孤立主義的な態度を困ったものだと感じている。


◎朝鮮併合は、明治初期の沖縄の併合のプロセスと瓜二つである。

 あるネット右翼氏の文章を読んでみて、日本は、朝鮮侵略の意志がはじめはなかったかのように書かれていることに気がついた。こうした見方は歴史的事実に反する綺麗事である。明治政府は充分な軍事力を蓄える以前から、何度も朝鮮侵略を試みている。できなかったり、やめさせられたりしているだけだ。
 明治初頭の沖縄の併合の歴史をつぶさに見るならば、それは、朝鮮併合の予行演習といってもいいものである。沖縄は、ポツダム宣言の条件からすると、放棄すべき領土のリストからは除外され、琉球民主共和国は独立しなかったが、もししていたら、今同じ批判を小泉の靖国終戦記念日参拝に対し、公然と向けているであろう。


終戦記念の日の直後の土・日の動向を注視したい

 8月15日に靖国神社参拝して、終戦記念の日の深い祈りを土足でけがした小泉現首相は、その足で、戦没者追悼集会に現れ、「不戦の誓いを守る」などと、平然と嘘をついた。ならば、なぜ今のこの時期に軍隊をもつよう、憲法を改正させようとしているのか。彼の本音は、
「国際社会の一員として(アメリカ中心の)世界の恒久平和の確立に積極的に(軍事力の面でも)貢献して(イラクでもどこへでも自衛隊を出して)いく。(アメリカ中心の)平和を大切にする国家として、世界(米英)から信頼されるよう全力を尽くして(言う事を聞いて)いく」ということなのである。戦没者と諸外国の犠牲者に対して「深い反省」の意を表したというが、では、なぜ心の問題といってみたり、国内の公約といってみたり、その場限りの言い訳をしながら、「中国、朝鮮がなんでそんなことを言うのか全くわからない」、などという言葉が平気で言えるのか。
 だが、いずれにしろ、右翼は、この靖国参拝強行突破によって、元気づいている。彼らはもちろん、(自衛戦争なのだからと、)過去の侵略行為に深い反省などする気もないし、不戦の誓いを守ろうなどという「綺麗言」を言う気もない。小泉の言葉などテンから信じていないのだ。それが、好戦政策と世論を押し進めるきっかけになるから、支持支持といっているだけである。
 この日本民族の存立に関わる大犯罪がなされたあと、最初の大衆行動の可能な、この土曜、日曜の動きを注視しなければならないと思っている。
 菅井が右翼であるなら、もちろん、ここで、大衆煽動のイベントを仕掛けて、追い打ちをかける。すでに小泉靖国参拝で、平和への祈りを妨げることに成功し、某平和主義指向の保守党政治家の家を焼き討ちして、平和主義者をビビらせることに成功している。靖国参拝の政治的外交的評価などの冷静な批判をする雰囲気は吹っ飛ばしてある。あとは、おどろくような大衆カンパニアをすれば、小泉靖国参拝の支持率調査の結果なんていうものに一喜一憂しているような、へなちょこ平和主義者や左翼を自信喪失させるのは簡単である。そう判断するからである。
 そううまくいくかな?