雑・三題

◎小さな政府

 今まで、家をもっている人も、それが、一定の評価額までのものなら、生活保護が出されていたのだが、それを止め、家・土地を担保にした融資制度にするという。死んでから競売にかけられる。持ち家のある人はまず家を失い、しかるのちでないと生活保護を受けられなくなる。
 しかし、実際には、自宅のある人は5%程度、担保価値がある資産を持つ人はさらに少ないとみられ、家持ちの人への生活保護を止めても、年間2兆円を超す生活保護費の削減効果は極めて小さい。このため厚労省は07年度、母子家庭に一律支給している母子加算や、物価の高い都心部に手厚い仕組みとなっている加算(級地)を縮小し、08年度には生活保護費の基準額そのものの見直しに着手したい考えだという。

 菅井は、今の小泉政権の進めている政策は、小さな政府をつくろうとしているのではなく、国家の破産解散処理の一過程なのではないかと感じることがある。国家廃絶論を正しいと考える菅井は、もちろんいずれは国家は解散消滅するのがよいと考えているが、今の日本では次期尚早である。このままでは、早晩、日本国国家は、事実上の軍隊である自衛隊と警察、税徴収機構、それに、総資本の代わりに、経済や諸民の生活を統制管理する省庁だけとなるのではないか。あるいはそれをも含めてアメリカに併合してもらうという米日併合なのか。国家のうち、諸民を守る部分がドンドン剥落している。

 それでも残る非諸民的部分こそが実は国家の本質なのだと言ったのはレーニン「国家と革命」であるのだが。


◎「日本のいたアジア」の可能性

 かつてハワイ王国アメリカ合州国に併合されようとしていた時、ハワイの王様は、日本と連帯してその併合を防ごうとした。日本人の移民も多かったハワイだった。だが、日本は、アジア・太平洋の諸国と連帯して、欧米帝国主義に対抗するという方針をそこでもとらなかった。そしてハワイはアメリカに併合されてしまった。「日本のいたアジア・太平洋」の可能性はここでも実らなかった。


安倍晋三自民党総裁戦に立候補

 安倍晋三氏は八方美人なのだろうか、といぶかしく思う。

 核廃絶、世界平和を祈る聖地広島で総裁選に出馬宣言。平和イメージをアピールしたいのだというが、出馬宣言においては、〈新憲法制定〉、つまりは自衛隊の軍隊への昇格=再軍備をはっきりと言った。他方で〈「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立」に向けた中韓両国との信頼関係の強化〉ということも言っている。

 だが、この二つが両立不可能なことは、今では中学生でも知っている。

 小泉の靖国神社参拝に対して、A級戦犯が合祀されていることを理由に、国交の大前提を裏切る行為とあれほど批判する両国が、平和憲法の廃止、日本の再軍備をみて、態度を硬化させないはずがない。

 お気楽な発言の多い現・小泉総理でも、こんなできもしないことは言えなかった。それともウルトラQの秘策があるのだろうか?