田中ユタカ「ミミア姫」のこと

田中ユタカさんの連載「ミミア姫」(「アフタヌーン」)について。

ネットで見かけた感想から。
「読んでて幸せになる漫画です。
なんだろう、流れる空気が良いのだよなあ。
お祭りの夜とミミア姫の誕生日。
ミミア姫の運命が解っているからこそ、周囲の惜しみない愛が温かく、切ないのです。 」

田中さんの読者であれば、こういう感想になるだろう。                   
前半は同意。後半はそう決めつけるものではない、というか、周囲の暖かく切ない愛は、ミミア姫の今の弱さとはもちろん切り離すことはできないけれど、未来の「運命」(?)なんてものとは関係ないさ、と、とりあえず言っておきたい。
この愛を描くのが今の日本では田中さんだけだから、彼の作品は貴重なのだ。

「お説教っぽい」感じがしたと正直に告白している人を見かけたが、そのこと自体が、今の日本の状況と田中さんの描く世界との乖離を示している、と思う。だが、このバックグラウンドを小出しにせず、はじめからドカンとぶつけた田中さんの決断をよしとしたい。

ひとつだけ。エッチを封印しないでほしい。そんなことはないと思うのだが、田中さんのその面は「アフタヌーン」にふさわしいとは必ずしも言えないぞ、と気がついたら、心配になった。もっともミミア姫はまだ11才。幸せをつかむのはこれからだ。

若い担当さんも大変だろうが、がんばって下さい。