マンガ教科書が国家により却下された

 高校数学の初めてのマンガ教科書が文部省検定で事実上却下された。マンガを読んで、教科書部分を読まない可能性があるからとのことだ。半分以上のマンガがカットされ、マンガは挿絵やエピソードに格下げされて再チャレンジするよりないことになった。

 中学高校の教科書は数学を含めて、むずかしすぎたのと、何をいいたいのかわからない無味乾燥さでまったく読めなかった菅井としては、別世界の話のような気がする。数学などはただの練習問題集としてしか使った記憶がない。当時だって、「はてな学習漫画文庫」とか「漫画・日本の歴史」のようなマンガシリーズ、なぜだろうなぜかしらなどの学習参考書が図書室にあって、それを愛読していたのだ。もちろん、菅井の授業を教えた先生たちが教科書などに頼らず、ブリントや練習書を自作してていねいにゆっくりすすめてくれたことが大きかったことは否定しない。

 《武士が登場する三角関数の章では、一定の間隔で波打つ三角関数のグラフを見て、男子生徒が「知ってるよ〜、しょっちゅうやってるもん。イェーイ!」とサーフィンを始め、武士も「いぇーいでござる」とウインクしながら答えている。
 しかし、検定では「(登場人物と)学習内容との関連が不明確」との検定意見が相次ぎ、教師役と生徒のやりとりには「教師役が何を意図してこのような発言をしているのか理解しがたい」などと指摘された。》(毎日新聞3/31)
とあり、ユニークな表現は全て「ですます調」に変えられてしまったのだそうだ。

 当時の、あの、脳をちっとも刺激しない教科書は今では大きく変わっているのだろうか。そんなことはあるまい。天才てれびくんウゴウゴルーガピタゴラスイッチ等の知的に刺激的なテレビ画面にしびれたことのある菅井は、「学ぶきっかけとして漫画をつかうという手法」程度にしか肯定的意見の出ない教科書審議会の基本姿勢の旧態依然さに鼻白むばかりである。
 「マンガ嫌韓流」や「ゴーマニズム宣言」だって大きな影響をもって、社会に立派に悪をたれ流しているではないか。