天木直人氏「本使帰朝報告」のこと

 鈴木宗男氏や辻元清美氏が質問趣意書で質問してくれたおかげで、自民党政府はこんりんざい、アメリカ政府に、広島・長崎の原爆投下を人道に対する罪であると、抗議するつもりはない、ということがはっきりした。
  読売新聞
  毎日新聞

 無理もない。敗戦後、日本政府は一度も抗議をしたことがないばかりか、国際的に、核兵器の使用は違法であるという結論が、広島、長崎の市長や人々の証言の努力で出たときに、日本政府は違法ではないとアメリカの肩をもった。さらに、核廃絶に向けては不十分ではあるが、現存する国際条約に加盟していて、核兵器をもてないはずの日本国の政府や、一部政治家は、核保有論議を始めようとしている。このような日本政府が、どうして、世界の核廃絶運動を押し進めることができようか。できるはずがない。笑われるだけである。
  だが、不思議なことに、安倍首相は、核廃絶をめざしているというのである。
 こういう、矛盾を矛盾とも思わない政治家、思考や反省能力のない政治家が、小泉以来一国のトップにすわっている。そして、日本国は壊されつつある。

 今度の参議院選挙は、そういう流れを止める出発点にしなければならない、と思う。

 そして、日本が戦争における核兵器の使用を人道に反するものとして、堂々と主張できるように、きちんとした措置を積み重ねる能力のある政権を樹立しなければならない。


 菅井は、天木直人氏の「アメリカの不正義」という著書を読んで感想を書いたが、その巻末に、天木直人レバノン大使が離任にあたって、出した「本使帰朝報告」という公電要旨がのっている。
  今、日本国のことを真に心配する者が、何をしなければならないか、ということを思って、それを載せることにした。秘密でない公電であるからには、日本国民の誰が引用掲載しても差し支えのないものであり、誰かがネット上に載せることは、日本人にとって義務であると信じる。
 と同時に、これは、現在の天木氏の闘争の出発点となる宣言文でもある。
 読んでいただくと、レバノンという国と日本の現状が同じように見えてくる。天木さんは「外務省との関係を絶って自由な立場で第二の人生を送れることを嬉しく思う。」と書いている。
 天木さんには掲載の快諾を得た。ありがとうございます。

 

天木直人「本使帰朝報告」本文