地球温暖化CO2原因説と原子力発電

 地球温暖化はCO2が原因だという世界中に広まっている常識に、反戦な家づくりさんが疑問を呈しています。
 それにはすごく興味があります。検討すべきことだと思います。

 ただ、この説は、化石燃料(石油、石炭)をやめて、ウランをつかう原子力発電に転換しようという世界的な政策方針とはっきり結びついています。

 アメリカでも日本でも、まもなく、新規の原子力発電所を大量に建設しようという動きがあります。しばらくは、アメリカ、旧ソ連での原子力発電所の事故、世界的な脱原発運動などの影響もあり、原子力発電所はそんなにふえてはいなかった。ですが、アメリカでの数十基の建設許可がおりたのをはじめとして、陸続としてはじまろうとしています。
それに対応して、ウラン鉱山を手に入れようという資本の動きも活発になっています。
 たとえば、カナダには、広島長崎に投下された原爆の原料ウランを採掘した鉱山があるのですが、1960年ころに閉山されていました。しかし、国際資本は、その採鉱権を入手したのだそうです。その鉱山で仕事をしていたネイティブの人たちの中から放射線被爆が原因かとみられるガン死が多発したため、部落の長老たちがいなくなり、部落としての自立的な維持が難しくなって、以前からあった強い反対を押し切って、鉱山会社と手を組むことになった。日本の原発立地と同じです。地元への利益誘導です。
 それにしても、戦前からマンハッタン計画にさらには戦後の核開発期に国策で鉱山開発をし、安全性にいいかげんだったカナダ国家は、被害者に何の救済もしていないのだそうです。同様な経緯にあるアメリカ政府がナバホのネイティブたちにやっているのと比べると、カナダ政府はどんな国家なのだろうかとクビをかしげざるをえません。

 また、オーストラリアのウラン鉱山には、巨大な放射性廃棄物のプールがあり、その量は今後ものすごいいきおいで増大すると予測されているそうです。

 中国も今の経済成長をすすめていくためには、石炭中心の自国のエネルギー政策を、原発に変えて行くしかないとみなしているようです。

 いくつかのNGOなどは、持続可能な成長ということや、ライフスタイルの見直しなどを含めて、石油石炭も原子力もふやさないようにという態度だと思いますが、進行中の事情を見ると、

 地球温暖化CO2犯人説は,ウラン原発を押し進めるという、一国を越えた世界的な政策潮流と一体となって進んでいるとみるべきではないか

と思います。

 菅井は、原発は成熟した技術とはとうてい言えないと考えています。

 日本は、4.50年くらい前に、国策誘導によって、石炭産業がつぶされ、強引な石油への転換が行われました。その際におこなわれた戦闘的な組合つぶしのやりかたは、国鉄や今回の郵政その他でひきつがれて今に至っています。
 ですが、世界的には石炭は時代おくれの技術どころか、現役の技術として、原発よりも大きな比重をしめているのだそうです。石油のことではありません。それらの産業をつぶし、原発におきかえよう、だって、原子力はCO2を出さないクリヤーなエネルギーだから。京都議定書やその後継措置に対応するには原発しかないのだから、というのが、資本の集合意志として厳然として動いているということです。


蛇足
朝鮮やイランが原子力開発の維持にこだわろうとするのは、こうした流れがあることから見れば、当然のことじゃないかと思います。先進国は原発どんどん、だが、おまえたちはやるな、というのはないだろうと思うでしょう。