アメリカで脚本家組合が19年ぶりの無期限スト

 技術の発展がさまざまな利害の対立を生み出し、発展させることは、歴史に適用された唯物論唯物史観とか史的唯物論とか呼ばれている)の帰結の一部ですが、ITの先進国であるアメリカでのこのストライキはその現れです。日本もいずれ後を追わずにはいないでしょう。この唯物論的見解は最近では、非常におとしめられていると同時に、具体的な理論において多くの未決のことがあることも事実なのですが、基本的には正しいものだと思います。
 アメリカばかりでなく、世界は大きく動いています。それなのに、日本の政治は止まっています。その深刻な事態に対しては、諸民が参加する選挙によって変えていくことしかありません。解散と総選挙を!



サンケイ新聞 18時
 【ロサンゼルス=松尾理也】米脚本家組合(WGA)は5日、印税の分配などをめぐり映画、テレビの業界団体との交渉が決裂したことを受け、約19年ぶりに無期限ストに突入した。ペンをプラカードに持ち替え、譲歩しようとしない映画会社やテレビ局に抗議のシュプレヒコールを繰り返した。しかし、今回の争いの真の原因ともいえる「時代の変化(インターネット革命)」には、むしろ途方に暮れるばかりのようにも見えた。
 「ストライキは、カネをめぐる争いだよ」。西ロサンゼルスにあるフォックス本社前でピケを張っていたビル・チェイスさん(45)は、自嘲(じちよう)気味に語る。「でもそのカネは、インターネットという新技術がもたらす未来を占うものでもあるんだ」。だからこそ今回のストは根が深い、というのである。
 テレビの脚本家であるチェイスさんは、テレビは人々に必要とされ続けると信じて疑わないものの、今の「見られ方」には懸念を隠さない。「私の10代の娘は、テレビ番組を(米アップルのオンライン配信システム)iTunesに2ドルでダウンロードして見る。その2ドルのうち脚本家にいくら回るか? ゼロだ」
 脚本家組合には苦い思い出がある。家庭用ビデオの黎明(れいめい)期だった1985年、ビデオの売り上げからの取り分をほとんど主張せず映画会社側と契約を結んでしまった。当時、ビデオが利益を生むなどとはだれも予想していなかったためだ。
 その後DVD時代を経て、今回の焦点はインターネットによるオンライン配信だ。脚本家側は取り分について従来の倍増を求めているが、歩み寄りの気配はない。
 「デモに参加している者の中には、欲深な映画会社やテレビ局が悪いと考えている者もいる」。フォックス本社前で気勢を上げていた新進脚本家のトレーシー・マクミランさんは、怒りをぶつけながらも「私は、仲間内で争っている場合ではないと思う」と話した。
 マクミランさんは2年越しで書き上げた脚本がテレビ局に採用され、事実上の失業者から一転、週給3100ドルを得る立場になったばかり。だがストで身分は無職に逆戻りしてしまった。
 ロイター通信は「インターネットによって、ショービジネスのあり方が変わりつつあることが、ストの理由。たとえ脚本家の勝利に終わったとしても、多大な犠牲は避けられないだろう」との識者のコメントを伝えた。