白日夢

戦争をしていると、経済は悪くなる。
日本でも、この前の戦争は、わずか四年間しかやらなかったというのに、
悲惨なありさまになった。
うちの母の今までに食べた一番おいしかったサツマイモは、その戦争末期に食べた
ふかして食べた、細くて透き通ったイモだったそうだが、
その名前を忘れてしまった品種は今では市場にないそうだ。
失われた本来の味がするイモだったのか、
それとも戦争中あまりに腹がすいてしまい、うまくもないイモがごちそうに感じられたのか、
母には今では判断することができない。


ナチスドイツがユダヤ人を捕まえ始めた時、
最初は、占領したどこかの島に、ユダヤ人だけの島をつくってそこにやるつもりだったらしい。
だが、戦争がつづいて、仕事も与えないでユダヤ人をただ収容して、
ひどい食料でもとにかく食べさせていくことは
だんだん面倒になってきた。
どこかの島の占領も、戦争勝利も遠のいた。
それでは殺してしまえばいい。
資源にもなる。
ロマ人も含めた虐殺はそんな風にしておこった。


過去の話をしているのではない。
今の日本は、アメリカの、終わりのない対テロ戦争に参加させられている。
ガソリンだって食品だって上がってきた。
貧乏人や年寄りの始末がめんどうになってきた。
今のところは、援助をへらせ、切れ、という話だ。
顕在化したワーキングプアも、働けばいいだけだ。
そのため政府はプログラムをつくるといっている。
だが、戦争中の今の政府がやることは見えている。
それはきやすめだ。
そのうち、貧乏人を抱えていることは面倒になってくる。
自助自立という名の切り捨て。自殺と衰弱死。

支払いが遅れたということで、
冬に電気やガスの供給をストップすれば、
それだけだって死人をつくれる。
それを感じているのは、窓口担当者だけだ。えらいさんは何にも感じない。


今の政府のやっているままなら、
ホロコーストは日本にも必ずやってくる。