殺人事件の半数は親族内で起きている

毎日の10日の記事によれば

 ◇増える親族殺人…ほぼ半数占める

 警察庁によると、容疑者が成人のケースも含めると、全国で起きている殺人・殺人未遂事件のうち被害者が親族となった事件の占める割合は増加傾向にある。97年は1142件のうち446件で39.1%だった。最近では04年は45.5%、05年は44.2%と減少したが、06年は46.9%、昨年は47.8%となり、ほぼ半数を占めている。

 少年による親らを対象とした凶行が相次ぐ背景について、尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「家族が社会から切り離され、カプセルに入ったような状況にあることが大きい」と指摘。「30年ほど前なら、憤りは政治や学校など社会に向かっていたが、家族が社会と切り離されたため、最も身近な親に向かうようになった。親からの期待も子供にはプレッシャー。濃密な関係であるほど事件が起きやすい」とみる。

とある。
家族内の殺人事件が全殺人事件の半数をしめているとは思っていなかったので驚いた。それは多くなっていると言う。
10年前も40パーセントだから、前から多かったわけだ。 

菅井は、強盗とか男女間のいさかいとかが多いのかと思っていた。きっとテレビのサスペンスドラマの見過ぎでそう思い込んでいたのだろう。

考えてみれば、不思議はない。家族はもっとも密接なつながりをもっているのだから。人はどうでもいいものを殺さない。戦争でもない限り。残りの密接なつながりは、共同体、近隣社会だろう。家族内の殺人の増加は、近隣関係がうすれ、町が共同体の性質を失ったので、実質的な人間的きずなが家族だけになってしまったからかもしれない。

菅井は前に、家族について とりわけ親子関係について、
階級の線引きが
家族の上部にある(家族全体が被搾取階級)
家族の中にある(親が支配階級、子は被支配階級に)
家族の下にある(親が支配階級、子供も支配階級になりつつある)
の三つに分けて観るべきだと書いたことがある。

親子の殺人は、家族の中に階級線引きがある場合、すなわち実質的な階級闘争

家族全体が被搾取階級であり、殺人が事実上の巻き込み自殺、無理心中である場合

のどちらかであることが多いように思われる。
とくに、最近は、後者、事実上の無理心中(犯人は生きて捕まったとしても)のケースが多いように感じる。
北海道の青年の母、弟、妹の殺人事件も、犯人の主観はどうあれ、貧困ゆえの家族無理心中のように見えてならない。
そんな状況を許す日本であってよいはずがない。