冷凍餃子のパッケージに穴はあいていた

 きのう、菅井は、今度の農薬中毒について、これが犯罪事件ではなく、隣国の工場のずさんな工程のせいだと最初から決めてかかり、中国食品の排除をという流れがつくられているのはおかしい。日本国内での毒物混入事件の可能性を最初から排除している理由は、包装紙に穴が開いていなかったという警察発表しか根拠はない、と指摘したが、何のことはない、一晩たったら、兵庫警察が、食べて中毒した餃子の袋に、針でさしたような穴があいていたのだが気がつかなかったと発表した。その被害者は穴から遠い端の一列を食べたときにはなんともなく、穴に近い中央の列を食べてはじめて気持悪くなったと言っているらしい。それは、農薬毒が外部から針で注入された可能性があるということである。
 一方、被害者の吐瀉物とパッケージにこびりついていた餃子の皮から農薬成分を検出したとする千葉警察は、依然、穴はあいていないかったと言っている。
 だが、検出された農薬毒の具体的濃度数値が生協自身の調査であるが発表され、それは原料農産物に使われた農薬がそのまま入っていたのではあり得ないほど高いという。
 これが毒物混入の犯罪であるなら、犯人さがしこそが、すべきことで、天洋食品以外の中国企業の加工食品まで売る事を止めるなどというのは、お角ちがいもはなはだしい。身内の中でなら直せばよいだけだが、国家間ということになると、間違えましたで謝ってすまないことがあるのだ。自主的に中国産冷凍食品を回収しはじめている企業は、自社の評判や売り上げのことしか頭にないのだろうが、国を誤り、国民をいたずらに不安に陥れている。
 そういう意味で、この農薬が天洋食品の工場内で混入したとの見方ではあっても、労働争議で賃あげを経営側に要求しながら受け入れられず、首まで切られてしまった賃労働者のうらみの犯罪ではないか、つまり、工程や中国の体質に問題があったのではなく、天洋食品という特定企業の労使関係の悪さという特別な事情に問題があったのでは、という独り言氏の推測は実に重要な指摘だった。 
 それなのに、一夜明けてみると、その独り言氏が、自らの前日のべていたことを台無しにするように、中国 食品全部の輸入をやめるべきだと翌日のブログに書いていた。


BSE牛海綿状脳症)の時は米国からの牛肉の輸入を止めたではないか!米国産牛肉と中国産食品のどちらが危険だというのか!
作春、パナマでの中国製化学薬品を使ったせき止め薬による死亡事件や、米国での中国産原料を使ったペットフードによる犬の大量死が相次ぎ報じられた。我が国でも平成16年には中国製ダイエット用健康食品を服用した岩手県の女性が亡くなった。
中国では食品や偽造薬品による中毒や死亡事故が頻繁に起きている。例を挙げればきりがないほどだ。こんな国からの食品の輸入を許していることそのものがおかしいのではないか!
少なくとも、今回の毒ギョーザ事件の真相が解明され、今後の防止策が確認できるまで中国産食品は輸入を停止すべきだ。それが政治の責任というものではないか。》(依存症の独り言 2/1)

 2点だけ言っておこう。
 確かに菅井も、アメリカ産牛肉の輸入停止に賛成したし、アメリカの圧力に屈しての輸入基準の緩和にも反対だったが、アメリカ産の豚肉や鶏肉の輸入に反対していない。狂牛病にかかわるアメリカ産の牛肉が日本の安全基準をみたせず、それゆえの牛肉の輸入停止は当然だが、だからといってアメリカ産食品全体を輸入停止せよなどと言ったら笑われるだろう。同じことを中国について、独り言氏は言っている。
 また、我が国で以前にもコンビニの商品に毒物を注入する毒物混入事件は起きているが、ねらわれているその会社の食品は危険だから販売をすべて見合わせよ、などという声はなかったし、そんな措置もとられなかった。


 民族差別主義者たちには、論理がちゃんと使えない人がけっこういるな、とは感じていたが、きのう見事な推理を見せた人気ブロガーの独り言氏までがその仲間だったとは。実に残念なことである。

さらに今朝のブログでは、日本国内の動きを過剰な反応であると論じた中国のひとつの新聞を取り上げ、中国非難をヒートアップしている。ここにはもう具体的な分析はなく、偏見である。 

《〜「徹底した責任回避」と「人命軽視」。「共産党と政府は常に正しい」という不変の原則。これらは(中国がー菅井補い)民主主義から最も遠い国であることの証明である。こんな国と「友好」を叫ぶ人の頭の中が理解できない。(中略)とにかく反省しない、すぐに開き直る、相手に無理難題を吹っかける、相手が弱いと見るや暴力(武力)で攻撃する(中越戦争を見よ!)。こんな隣人がいたら、あなたは「一衣帯水」の関係なんて言っていられますか?もう、ふざけるな!こう言うのが当たり前。
とにかく中国で作ったモノを日本に持ち込むのはやめてもらいたい。中国でモノを作りたいのなら、13億人もいるのだから中国人に売れ。
私はそう言いたい。
欲に目がくらみ、足下を見失った日本企業を断罪する!!!。》(依存症の独り言 3/2)


 その 「徹底した責任回避」 「人命軽視」の中国政府は今度のことでどんなことをしているか。わずかの情報からではあるが、こんなことが報じられている。

《 【石家荘(中国河北省)大塚卓也】中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、製造から袋詰めまでを担当した河北省食品輸出入公司天洋食品工場の正門前は31日、計250人を超える報道陣と見物人が詰めかけた。当局の担当官が厳しい表情で立ち入ると、周辺は一挙に緊張に包まれた。同工場は度重なる労働争議で地元の評判も極めて悪く、元従業員からは「利益偏重」との批判が相次いだ。
 午後1時過ぎ、2台の車に分乗した河北省輸出入検疫総局の幹部は報道陣に「問題を重視し、大人数で真剣に調査している」と説明。日本の商社が調査に来ることに対して「われわれの独自の調査を信用して欲しい」と厳しい表情で述べた。
 午後4時40分過ぎには、検査当局の係官と思われる7〜8人の男性が、工場敷地内に止めた黒塗りのワゴン車に段ボールを積み込んだ。証拠物件を押収したとみられる。》(毎日)


《【北京・西岡省二】中国外務省の劉建超報道局長は31日、中毒事件を起こした冷凍ギョーザの製造元「天洋食品」の工場(河北省石家荘)が昨年10月に生産し、保存していた製品サンプルを緊急検査した結果、「メタミドホスが確認されなかった」と述べた。国家品質監督検査検疫総局の専門家を近く日本へ派遣することも明らかにした。
 劉局長によると、検査されたのは日本で中毒を起こした製品と同じ昨年10月1日と同20日に製造されたサンプルで、豚肉、白菜などが材料として使われていた。現地入りした同検疫総局の担当者が31日朝に検査した。輸出時の残留農薬検査もパスしていたという。
 一方、同総局の王大寧・輸出入食品安全局長も同日会見し、天洋食品の日本向け製品のうち、04年8月には日本側の検査で肉製品から基準値を超える大腸菌が見つかり、返品されたほかは「生産管理上の問題は起きていなかった」と述べた。
 王局長は中毒の原因について「あらゆる可能性が残されている」との認識を示し、製造工場の生産、輸出を停止、中国国内に出荷された製品の回収を指示したことを明らかにした。》(毎日) 

《中国国家品質監督検査検疫総局は1日、日本側と合同調査するため、同総局輸出入食品安全局の李春風副局長ら5人を2日に日本へ派遣すると発表した。1日まで同工場で製品サンプルや包装袋など30個の検査を行ったが、メタミドホスなどは検出されなかったと明らかにした。》(毎日)

 地元担当者は「問題を重視し、大人数で真剣に調査している」「われわれの独自の調査を信用して欲しい」と述べ、中国政府は日本と合同調査をするとして着々として動いており、製造工場の生産、輸出を停止、中国国内に出荷された製品の回収を指示したという。日本国内での毒物混入の可能性だってあるはずだが、それについては一切言わない、政府のメインの機関紙でも沈黙を守っている。菅井には、日本政府より大人の対応のように思われる。

  
 もう一度確認すると、今度のことが毒物混入犯罪であるならば、それは中国の一般的食品事情とは何の関係もない。日本で起きたか、中国で起きたのか、どちらであっても、犯人をあげ、どれだけの冷凍餃子に毒を入れたのかはっきりさせることである。きちんとした処置をすることである。中国の他企業の冷凍食品を売らなくすることなどまったくひどい的外れの行いである。
 中国の遅れた生産法・工程や習慣に原因があるのなら、依存症の独り言氏の言うことにも理があるかもしれない。だが、そうではないと独り言氏は推測していたのではないのか。

 なお、アメリカ産牛肉を現地調査の結果、危険なので使用しないとし、その方針を貫いているすき家ゼンショー)は今回の事件については

《毒物の混入濃度が異常に高かったことなどを理由に「中国食品の品質管理の問題というより、1工場で起きた事件の可能性が高い」(広報室)と指摘。「世の中の動揺に企業まで流されてどうするのか」と、中国からの輸入食材の使用を今後も続ける。》(毎日)

といっている。菅井はこの日本企業の姿勢に賛成である。