毒入り冷凍餃子中毒事件その後

 昨日、兵庫県毒餃子のパッケージには穴があいていなかったことを書いたが、埼玉県の毒餃子の母子2人の中毒の分のパッケージにも穴が開いていたことがわかった。しかも、その残りの餃子からは農薬毒は検出されなかったそうだ。


《2008/02/02-18:13 包装袋に1カ所穴=メタミドホス検出されず−中国冷凍ギョーザ・埼玉
 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、埼玉県川越市の母子2人が食べたギョーザの包装袋に穴が1カ所開いていたことが2日、分かった。残っていたギョーザからは、メタミドホスは検出されなかった。母子は腹痛などの症状を訴えたが、現在は回復している。
 川越市保健所などによると、母子が食べたのはジェイティフーズ(東京都品川区)の「手包みひとくち餃子」。賞味期限は2009年2月17日だった。
 穴の大きさは数ミリ程度で、同保健所の担当者は「穴は丸くなかった。こすれて開いた可能性も否定できない」と話している。
時事通信)》

 もちろん、こすれて開いたのかもしれない。

 さらに、警察は、天洋食品工場で同じ日につくられた他の同一商品冷凍餃子を検査したところ、農薬毒は検出されなかったと発表したそうだ。

《2008/02/02-21:44 同じ製造日分、異常なし=中国製ギョーザ、薬物混入にばらつき?−千葉・兵庫県
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、千葉県警は2日、県内の2家族が食べた「手作り餃子」と同じ日に製造されたサンプル品2袋のギョーザ各1個を鑑定した結果、薬物は検出されなかったと発表した。兵庫県警も同日、高砂市の親子3人が食べたギョーザと同じ製造日の8袋から、有機リン系薬物「メタミドホス」は検出されなかったと発表した。いずれもパッケージにも異常はなかったという。
 これまでに被害者が購入したギョーザや、その吐瀉(としゃ)物などからはメタミドホスが検出されているが、同種製品の鑑定結果が出るのは初めて。同じ製造日の昨年10月1日と20日の製品でも薬物が入った商品とそうでない商品が混在している疑いが強まった。
時事通信)》

時事通信は控えめに、「同じ製造日の昨年10月1日と20日の製品でも薬物が入った商品とそうでない商品が混在している疑いが強まった。」と述べているが、何のことはない、ほとんどの餃子は安全であり、限られた、しかもパッケージに穴の開いていた餃子の本体とか、パッケージとかに農薬毒、それも常識では考えられない高濃度のものがはいっていたというのが本当ではないのか。

しかも、中国側発表は、ほぼ工場シロを主張している。

《「殺虫剤使用はない」中国河北省検疫局長が明言
 【石家荘(中国河北省)=牧野田亨】中国製冷凍ギョーザによる中毒問題で、ギョーザを製造した「天洋食品」を調査している河北省輸出入検査検疫局の程方局長が2日、同省石家荘市で記者会見した。
 程局長は中毒を引き起こした有機リン系の殺虫剤「メタミドホス」について、「天洋食品は過去に使用したことはない」と明言。さらに「現時点の調査で、原料、製造過程にも問題は見つかっていない」とした上で、日本と連携しながら、原因究明に努める姿勢を強調した。
 程局長によると、河北省政府は中国政府から問題発生の通報を受けた1月30日、同局や公安部門などによる合同調査チームを発足。係官を天洋食品に派遣して製造記録を確認するとともに、問題となっている昨年10月1日と同20日に製造された商品のサンプル、さらに両製造日の前後計11日間のサンプルでも成分調査を行った。天洋食品の工場の生産、加工、管理などに携わる職員30人の事情聴取も行った。
 その結果、「(同社は)これまでもメタミドホスは使っていない」と明言。同社が1994年に中国政府から輸出業者として認可を受け、95年には日本の農水省から対日輸出の生産工場として認可を受けていることをあげ、「返品などの問題も起きておらず、品質管理体制は正常だ」と、管理システムを高く評価した。
 日本で中毒問題が起きた原因については、「非常に関心がある。そこを現在調査している」と語り、係官を日本に派遣する国家品質監督検査検疫総局と緊密に協力し、調査を進める方針を示した。(読売)》


 もちろん、まだはっきりしたわけではない。サンケイの記者をはじめとして、当該餃子を食べたあと体調が悪くなったと名乗り出た人が1700人もいて、そのうち、農薬中毒と無関係と判明したのは700人にすぎない。後の1000人は天洋食品の餃子を食べたのちしびれなどが出ている。そして、その1000人のうち医者にかかった人は約300人で入院した人は6人だが、いずれも厚生労働省は中毒とは無関係と認定した。だが、のこる700人の医者にかからなかったが、天洋食品がつくったJTの餃子を食べて体調が悪くなった人々の中に毒入り餃子で中毒した人がいないとはいえないのである。ただし現時点ではっきりと農薬毒中毒とされているのは兵庫と千葉の10人だけである。


健康被害、全国で1700人=4割は無関係の症状−厚労省    2月2日22時0分配信 時事通信

 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、健康被害が出たと保健所や医療機関に訴えた人は、44都道府県の1702人に上ったことが、厚生労働省の2日夜までの集計で分かった。新たにメタミドホスが検出されたり、有機リン系中毒が疑われたりする症例はなかった。
 このうち、4割強に当たる733人は有機リン系中毒と無関係の症状を訴えたり、国産のギョーザを食べていたりした人だった。
 残りの人はギョーザなど中国製冷凍食品を食べ、しびれやめまいなどの中毒症状を訴えた。うち296人が医療機関を受診し、8人が入院したが、いずれも軽症で、同省は中毒とは無関係と判断した。》
 

 未使用で穴のあいていない冷凍餃子から、農薬毒が検出されれば、それも同じ日の製造品からいくつも出てくれば、工場で混入したとわかるだろう。だが、今のところ、そういうものは一個も見つかっていない。


 菅井には、これはもう中国食品の危険性の見本などというものではなく、流通過程のどこかで農薬を注入した悪質な犯罪なのだと思えてきた。
 その場合、独り言氏が語っていたような、中国人賃労働者による会社に対するいやがらせ犯罪の可能性(菅井はそうとは思わない)だけでなく、愉快犯や、さらには中国でつくられた食品の評判をおとしめようとするバカの犯行もかんがえなければならない。中国で使用されている農薬をつかえば、中国のせいだと思わせられるだろうとか考えて。

 実際、政治ブログランキングの上位ブログを見ていると、独り言氏のように少しでも自分の頭で考える人は少数で、ほとんど中国食品たたき、中国からの輸入禁止、中国に食品をつくらせているJTは反日でけしからんなんて叫んでいるところが目白押しなのだから情けなくなってくる。
 民主党の菅氏まで、それにのせられて、「わたしだったらはっきりするまで輸入禁止にする」などと言っているのだから困ったものだ。輸入禁止にしなくとも、中国ですでに出荷停止回収しているそうだし。

 冷静に今後の動向を見たいと思う。