フリーアナウンサーの川田亜子さんが自殺。警察官、大学院生、能楽師、農民、中学生、やくざ、の自殺も報じられている。事情がまだはっきりしない今の時点ですでに、川田さんの自殺は、少なからず、人々にショックを与えた。今までは自殺者は、少数者、負け組、貧乏人、おちこぼれ、いじめられっこ、借金、病気、裏の事情のある人など、わたしたちとはちがう特別な人のことだと思うことがまだできた。だが、川田さんのような局アナ上がりのフリーアナはそうではない。むしろ、勝ち組側なのだ。自殺は勝ち組、支配層、エリートにも広がった。現実とは別に、テレビではなべてこの世はこともなし、だったがそうではなくなった。体制というか、日本国家の安定性なるものは、メディアが毎日まき散らしている、この「こともなし」のイメージによっているわけだが、その安定は損なわれてしまった。支配者層の中核は依然としてお気楽であるが。
