大手ファーストフードの安売り競争を禁止すべきではないか

 吉野屋がはじめた牛丼の値下げは、松屋とすきやにも広がった。
 貧乏人にとって一見よいことのようだが、菅井には疑問がある。
 というのは、こういった安売りのはじめは、マクドナルドではないか
とおもうのだが、巨大な寡占企業がそういった安売りをすると、マスメディアは
頼まれなくても報道してくれる。これは。広告料無料で宣伝しているのと同じだ。
マクドナルドはそれでこの不況下だというのに膨大な利益増額を果たした。
もうかったというニュースを聞かなかったなら、菅井も安売りを助かると
考えただろうが、そこではたと思った。
これって、昔、社会の授業で習った、独占企業によるダンピングと同じでは
ないだろうか。
大手は薄利でも特権的に宣伝してもらえる立場を利用して売り上げ個数を伸ばせばもうかるだろう。
だが、大手に客をとられた中小や個人商店はまちがいなくきびしくなる。
大量に売れなくても、値下げに追随しなければならなくなり、つぶれてしまうことさえありえる。
そして、大企業で買うしか選択肢がなくなる。これまた、社会の授業でならった独占の弊害である。
そして、商品の値下げは、賃金の値下げを正当化さえするだろう。
 これは、反対なのではないだろうか。商品の値段を大手がさげることには、禁止規制をもうけるべきでないか。それでも大企業がもうかるというのなら、税金をしっかりとればいいのだ。物価をさげて労働者の再生産費を下げ、消費や賃金を抑制することではなく、賃上げ、つまり賃労働者の収入を増やすことが、根本的な解決の道であるはずだ。
 必要な経費は、価格にきちんとのせられなければ、安心して商売などできない。


 「自由競争」というが、実は、資本主義の日本の姿をみるかぎり、古い体質からばかりでなく、大企業に明らかに特権が生じている。実際は不公正な競争なのである。頼まれなくてもマスメディアが宣伝してくれる大手の安売りなどはそのいい例である。タスポ導入によって普通の煙草屋に打撃を与え、コンビニばかりが売り上げを増した、などということもあった。そのコンビニも儲かっているのは親会社ばかりで、個々のお店や従業員はけっしてうるおっていない。


 好むと好まざるとにかかわらず、国の政策でそういうことが生じてしまう以上、きちんとした規制をする政府が必要である。

 事実とあっていない「自由」経済という言葉で今の日本の経済を抽象的に描くことはもうやめるべきだろう。資本主義日本の現実の姿をありのままにとらえる分析と呼び名が諸民にわかりやすく提示されるべき時期になっている。


参考になる経済論考 森永 卓郎
第180回:
なぜ誰もデフレの危機を叫ばないのか 
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/180/index.html