マンガ ぼくらの

5/20

きのう、アニメ版を見終わって書いた文章を再読してみた。
とくに、訂正すべきことはないが、物語という観点とは、ちがうこともあったと思ったので、つけくわえる。
アニメ版とマンガとを、物語という点で比較したのは、アニメ版が物語だったからであるが、マンガ原作には、それ以外のものがある。

ある特定の環境に人を置いたとき、その人はどのように行動し、変わるだろうか、という実験的なものである。マンガ原作には、そういうリアリズムもある。アニメのカコの部分は、原作をよくそしゃくしていたから、リアルだったが、基本的にはそういうリアリズムは感じなかった。むしろ、心の機微はおもいきり単純にされている。

原作マンガにはこのリアリズムがあり、それゆえにぼその結果としてのぼくらの、ということに真実があり、感動も、救済の可能性もある。

ぼくら、というのは、おそらく、栗本薫の「ぼくらの時代」という小説の登場に端を発する。だが、そこでのぼくらは、まだ、ぼくらのことではなかった。

 鬼頭さんの「ぼくらの」 こそ、ようやく出現したぼくらのコミックなのだと思うのである。