エジプトと日本

エジプトの民衆革命は、日本で考えると、成功した60年安保のように思う.
ムバラクが退陣したように、岸も退陣したではないか、というが、意味はまつたく違う。まず、「安保自然承認」なる敗北(支配者たちからいえば勝利)があって、それを確実にするために岸は自分からやめたのである。民衆の闘争はあったが、それが岸を退陣に追い込んだのではない。エジプトでは、まず、ムバラクの退陣こそが勝敗を決する点だった。それに勝ったからこそ、革命になったのだ。
ムバラクがやめても、とりあえずは軍に力が移ったのであるから、まだまだどうなるかはわからない。
とはいえ、第一段階は成功した。
第一段階にすすめなかった安保阻止闘争敗北を直近の歴史にもつわれわれ日本人には、エジプトの革命は、リアルタイムに見られるのにもかかわらず、あまりにも遠い。

時代はゆっくりと動いていく
臆病者の象にまたがって

いったん動き出したら止まらないエジプトの象を前にして、

せめて、象にサーカスの芸当を教えてやってくれ、と願った 寺山修司はどう言うだろうかと考える。