官邸前抗議 その2

再稼働反対の官邸前抗議の特徴は、デモでも集会でもなく、
届け出の義務さえないということだ。要件は、歩道で行う、通行のじゃまをしないこと。車道に出ないこと。
実際には、混乱を防ぐため、主催者は警察と協議してきたが、これが
「警察官は交通整理をしているだけです。指示にしたがって」という主催者の告知の根拠になっている。
初期の段階に、地域の警察との話し合いの中で、この形式の
抗議行動は、憲法にもとづく権利であり、届け出の義務は
ないと、確認されてきたのだろう。
その後、規模の拡大とともに、上級の警察機関の扱いになり、地域警察は窓口のようなものにすぎなくなったが、初期に確認されたことは生きている。主催者は、最初にクリーンヒットをとばしていたのだ。


歩道で抗議行動をすることは、完全に合法的な諸民の権利であり、届け出は特にいらない。警察は、交通整理をするだけである。


主催者側は、騒乱になってしまい、このタイプの抗議行動を逸脱して、その結果、彼らが発見したデモでも集会でもない、
もう一つの抗議の場が失われてしまうことをおそれた。
で、実力行動や警官とのトラブルになる行動を禁止した。
それが批判を招くことになった。平和主義の理念も、多分あるだろうが。


旧来のデモや集会、あるいは、天安門事件のような占拠、大衆蜂起のようなものをイメージする旧来の運動からの参加者には、これがわかりにくかったようだ。


目的は再稼働を止めることであり、官邸前抗議はそのための手段だという、旧来論者の主張はもっともである。


だが、官邸前抗議は手段にすぎない、というのは違っているかもしれない。それ自体が目的でいいのかもしれない。とりあえず、「再稼働反対」のための手段などではない。


主催者は、たくさんの人が集まるばかりでなく、結果を出さなければ、と悩んでいると思うが、今の政府は、再稼働をやめないし、低線量被曝による被害も認めないから、「結果」なんてたぶん出やしない。もちろん、止まったらうれしいが。きっと29日に国会を囲んだって、再稼働は止まらない。単なる手段だったら、それで失敗ということになる。


そうじゃない、各地に伝播している。他の曜日に、他のシングルイシューに飛び火している。テントのある経産省前にも、国会正面にも。子供連れスペースにも。抗議の叫びだけでなく、歌もあり、リズムもあり、討論もあり、


何に最も近いか、車道は使えないけど、歩行者天国みたいだと思える。2時間という時間を区切った・・・。
オキュパイ運動は、日本ではいくつかのテントがある。経産省前にもある。だけど、これだって、時間を区切ったオキュパイ運動なわけだ。


あるいは、国会議事堂の中から引っ越してしまったもう一つの国会。