証拠をさがす その2

「元兵士が語る戦史にない戦争の話2」(曽根一夫著 恒友出版 1998年刊)という本を読んだ。南京攻略にも参加している。南京事件にかかわる事情がわかるとよいと思って読んでみた。

そのうちから、上海を占領してから、南京へ向かう兵の状況を書いたところを画像で引用する。
この時の兵士の蛮行を起こさざるを得ない特別な事情があったことを教えてくれている。

上海付近の戦場にいたときは殆ど蛮行しなかったのに、南京へ向かう途中ではまるで別の軍隊であるかのように、蛮行したというのだ。


上海では日本軍は4万人もの死者を出していた。上海から南京までは300キロもあった。

上海戦が終ってわずか10日で南京攻撃の命令がでた。兵士は早期帰還の望みを絶たれた。

食料の補給がなく、現地で略奪(徴発)で自活せよと命じられた。証拠隠滅の為に殺戮が行われた。


現地軍司令部は、各国の調査がはじまると、とりあえず急いで徴発の禁令を出した。
しかし物資の補給はしなかったから、直接戦闘にかかわる下級将校は徴発をやめなかった。
こうして、証拠隠滅のため、殺戮が行われることとなった。(その3につづく)