大政奉還がわからない?

首相は自民党内からでた、総辞職して、大政奉還せよ
との意見に対して、
いみがわからない、と不快感を表したそうだ。


首相の頭では、幕末に生じた「大政奉還」という歴史的文脈をもった言葉を現代に適用したら
どうなるかわからないらしいので、
代わりに菅井が考えてみた。

幕末の「大政奉還」は幕府が、政治を本来の統治者、支配者である天皇に返すことだった。
水戸学らが、すでに尊皇攘夷思想を展開しており、幕府は本来の支配者である天皇の代わりに政治を行っていると考えられていたから。


確かに、天皇に政治を返すという意味しかわからなければ、この言葉はナンセンスである。
総辞職は天皇に政治をかえすことになど、まったくならないのだから。
麻生首相の頭の中はこんなところではないか。具体的文脈から離れられない硬直思考。


だが、本来の統治者、支配者に、代理者が政治を返すという意味でこの言葉を理解するなら、話は簡単である。現代における政治的統治者、支配者はもちろん、諸民である。民主主義とか、人民の主権というのは、そういうことである。
だから、総辞職して、諸民の選挙にゆだねるということは、現代における政治の主人である諸民、民衆、国民に大政(政治)を奉還する(もどす)ということに他ならない。

もっとも、今でも天皇が権力者であり、支配者であり、諸民は、その奴隷、臣民であると思っているならば、この用法はうけつけられないだろう。もしかして、首相がそういう確信犯であるということはありえるだろうか。ちょっとまえは、そういう思想は必ずしも正しい使い方ではないが、封建思想とよばれていた。ネット右翼たちが自分たちがこの思想にたぶらかされていることは、そろそろ自覚したほうがいい。